これは筆者のママ友R子さんから聞いたお話です。
5歳の長男と3歳の次男は、仲が良い反面、毎日よくケンカもするそうです。おもちゃやイスの取り合いから、お菓子の数まで、理由は本当に些細なことばかり。最初は「兄弟なら仕方ない」と受け流していたR子さんも、毎日の仲裁に疲れ、限界を感じていたある日、思わぬ“成長の瞬間”に出会ったといいます。

また始まった……と思ったら

ある休日の朝のこと。リビングからまたいつものように、激しい取り合いの声が聞こえてきました。次男が先にお気に入りの絵本を手に取り、長男が「それ、僕のだろ!」と怒鳴っていたのです。R子さんはキッチンで朝ごはんの支度中。「またか……」とうんざりしながらも、仲裁するべきか迷っていたといいます。そのとき、泣きそうな顔で絵本を抱える次男に向かって、長男がふと動きを止めて静かに言ったのです。「じゃあ、それ読んだら、僕にも貸してね」

成長を感じた、思いやりの一言

拍子抜けするほど優しいその一言に、次男は「うん」とうなずき、その場に座って読み始めました。長男もその隣にちょこんと座り、静かに待っていたそうです。叱られたわけでも、説得されたわけでもなく、自分で考えて引いた長男の行動に、R子さんは驚いたと同時に心がじんわり温かくなったと話してくれました。兄弟ゲンカの中に、こんな優しさが潜んでいたなんて……と、思わず目頭が熱くなったといいます。

ケンカの中にも、確かな成長がある

もちろんその後も兄弟ゲンカは続いているそうです。それでも、あのときの長男の姿を思い出すたびに、「成長って、テストの点や身長だけじゃないんだ」と感じられるのだそう。親としてできることは、「仲良くしなさい」と怒ることではなく、こうした“変化の瞬間”をしっかり見つけて、そっと認めてあげることなのかもしれません。R子さんはそう話してくれました。些細だけれど大切な気づきが、子育ての中にちゃんとある……そんなことを教えてくれる出来事でした。

【体験者:40代・女性パート主婦、回答時期:2025年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:北田怜子
経理事務・営業事務・百貨店販売などを経て、現在はWEBライターとして活動中。出産をきっかけに「家事や育児と両立しながら、自宅でできる仕事を」と考え、ライターの道へ。自身の経験を活かしながら幅広く情報収集を行い、リアルで共感を呼ぶ記事執筆を心がけている。子育て・恋愛・美容を中心に、女性の毎日に寄り添う記事を多数執筆。複数のメディアや自身のSNSでも積極的に情報を発信している。

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