今回は筆者のママ友から聞いた、ちょっと心あたたまる年末年始のエピソードです。毎年のように親戚が集まるたび、「お年玉は現金にする? それともデジタル送金?」という話題で盛り上がるという彼女の家。スマホ世代の子どもたちから「スマホで送ってもらえないの?」なんて声が上がり、時代の変化を感じつつも、家族みんなで相談する中で、昔ながらのワクワク感と新しい便利さをうまく両立させるアイデアが生まれました。

台所から現れた祖母のひと言

そんなとき、台所でお茶の準備をしていた祖母が、湯呑みを持ってリビングに戻ってきて、ぽつりと話し始めました。「私はね、毎年お年玉袋を選ぶのが楽しみだったのよ。あの子には犬柄にしようか、この子は流行りのキャラクターがいいかなって考える時間も、私なりのお年玉だったの」
その言葉に、みんなハッとして静かになりました。祖母は「封筒を用意する手間も、あとから思い出になるのよ」と笑っていて、その姿を見ていると、誰も強く言い返せなくなりました。

封筒はそのまま、中身だけアップデート

そこで従妹が「じゃあさ、袋は今まで通り用意して、中に“デジタル受け取り用のQRコード”を入れるのはどう?」と提案しました。「半分は現金、半分はデジタル送金にしてもいいよね」といった折衷案も出てきます。最終的には保護者がしっかりと管理することを前提に、各家庭で細かい配分は決めつつも、「見た目は従来どおり、中身は今風」の“ハイブリッドお年玉”を採用することになりました。

変わるのは形だけ。変わらないものもある

迎えたお正月、子どもたちは例年通りポチ袋を受け取り、ワクワクしながら封を開けました。「え、QRコード? なにこれ!」と大騒ぎしながらスマホを取り出す姿を、祖母は穏やかな表情で見つめていたそうです。時代とともに、お年玉の形は変わっていきます。でも、誰かのことを思ってお金を包む気持ちや、その時間ごと「思い出」になるという感覚は、これからも変わらないのかもしれない……そんなことを感じさせられた出来事だったと、ママ友は話してくれました。

【体験者:40代・女性パート主婦、回答時期:2025年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:北田怜子
経理事務・営業事務・百貨店販売などを経て、現在はWEBライターとして活動中。出産をきっかけに「家事や育児と両立しながら、自宅でできる仕事を」と考え、ライターの道へ。自身の経験を活かしながら幅広く情報収集を行い、リアルで共感を呼ぶ記事執筆を心がけている。子育て・恋愛・美容を中心に、女性の毎日に寄り添う記事を多数執筆。複数のメディアや自身のSNSでも積極的に情報を発信している。

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