結婚式は、人生で1度きりの特別な日。時間をかけて準備をして迎えるその日には、新郎新婦の思いが詰まっています。参列者もその思いに寄り添いたいものですよね。今回は、筆者の友人が体験したエピソードをお届けします。

凍りついた会場

何よりもショックだったのは、ゲストや親族への感謝を込めて時間をかけて作った、プロフィールムービーが流れている最中の出来事。

会場全体が感動に包まれる中、従妹のテーブルから突然「えー、これ終わるまで食べられないの? お腹すいたんだけど~!」という声が聞こえてきたのです。

会場中に響き渡ったその声は、一瞬にして空気を凍らせ、私の心にも深く突き刺さりました。
顔は笑顔でも、心の中は怒りよりも悲しさでいっぱい……。

せっかくの晴れ舞台を、なぜここまで台無しにされなければならないのか。
悔しさに涙がにじみましたが、主役として笑顔を保たなければならない私と夫は、何も言えずただ耐えるしかありませんでした。

救いのヒーロー現る

そんな私を助けてくれたのは、幼い頃から私をよく知る叔父でした。

普段は温厚で物静かな叔父が、式の合間に親族がロビーで談笑している中、真っ直ぐ従妹の元へ歩み寄り、こう言ったのです。

「〇〇ちゃん、今日のあなたの行動は、あまりにも目に余る。招待もされていない人を連れてきて騒ぎ立て、主役を傷つけるなんて……人として、どうなんだ。今すぐ、新郎新婦に謝罪しなさい」

叔父の、静かだけれど迫力ある言葉に、従妹は絶句。

それまでのへらへらとした様子からは想像もできないほど、真っ青な顔をしてすぐに私たちの元へ駆け寄り、涙ながらに何度も頭を下げて謝罪してくれました。

主役だからこそ言いたくても言えない気持ちを代弁してくれた叔父の優しさによって、私たちの結婚式は無事に終えることができたのです。

【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。

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