これは、筆者が実際に体験した話です。
昔から口数が少なく、感情表現が苦手な私の父。孫が生まれるたびに新しい一面を見せてくれるようにはなりましたが、それでも自ら孫の行事に来たがることはありませんでした。「うちの親は不器用で……」そんな風に思っていたのですが、先日、息子の試合で目撃した父の「まさかの姿」に、思わず胸が熱くなりました。
画像: 息子の試合観戦に誘うも、父の反応はイマイチ。でも当日 → 父の『ツンデレな愛情』にほっこり

孫に興味ナシ……? 乗り気じゃなかった父の「意外な即答」

先日、息子が「じぃじにも試合を見てほしい!」と言い出しました。私の父は自分から孫の行事に来たがることはなかったので、どうせ断られるだろうなと思いつつ、ダメ元で誘ってみました。すると、「うーん。わかった」と、なんとも乗り気ではない返事。まあ、来てくれるだけマシかと、あまり期待はしていませんでした。

当日、父は約束通り試合会場に来てくれましたが、どこか手持ち無沙汰な様子。「忙しいのに、やっぱり悪かったかな……」と私が内心ソワソワしていると、一試合目を終えた息子が父に駆け寄り、無邪気にこう言ったのです。

「じぃじ! 二試合目も見てくれる?」

二試合目までは、かなり間隔が空きます。さすがにこれは無理だろうと、私が慌てて「こら! じぃじも忙しいんだから」と断ろうとした瞬間──。父が私をさえぎり、こう言ったのです。「もちろん! じぃじ見るからな!」まさかの即答でした。

「じぃじ見るからな!」まさかの大声援と息子のゴール!

二試合目、息子はなかなかゴールが決められず、だんだん焦りが見えてきました。ついには、フィールドの隅で泣きそうになっています。いつもなら私が「頑張れー!」と声を張るところですが、その日は違いました。

「息子君! 前を向け! いけるぞ!」
静かに観戦していると思っていた父が、突然立ち上がり、私が見たこともないような大声で声援を送ったのです! ビックリしたのは私だけではありません。息子もハッとした顔で父を見つめ、再びボールを追いかけました。まるでスイッチが入ったかのように、息子の動きが変わります。そして──見事なゴール! 息子は父に向かって、満面の笑みでガッツポーズを見せました。

「次の試合はいつだ?」ぶっきらぼうな父の“不器用すぎる愛”

試合が終わり、興奮冷めやらぬ様子の息子と、なぜか少し照れくさそうな父。帰り際、父は私に背中を向けたまま、ぶっきらぼうにこう尋ねてきました。「……次の試合はいつだ?」
その一言に、すべてが詰まっている気がしました。興味がなかったわけじゃない。ただ、どう表現していいか分からなかっただけ。孫の一生懸命な姿が、不器用な父の心の扉をこじ開けた瞬間でした。ぶっきらぼうな「じぃじ」の深い愛情に、心がじんわりと温かくなった一日でした。

【体験者:40代・筆者、回答時期:2025年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:日向みなみ
出産を機に、子どもとの時間を最優先できる働き方を模索し、未経験からWebライターの世界へ。ライター歴10年の現在は、オンライン秘書としても活動の幅を広げている。自身の経験を元に、子育てや仕事に奮闘する中で生まれる日々の「あるある」や「モヤモヤ」をテーマに、読者のみなさんと一緒に笑って乗り越えるよう、前向きな気持ちになれるコラムを執筆中。

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