母の愛情たっぷりのお弁当。
でも、実はその中にずっと苦手な“ある味”があったと言う筆者の友人。
本音を伝えられなかった高校時代を経て数年後、勇気を出して母に話してみると、思いもよらぬ返答が──。
今回は友人から聞いた、親子のエピソードをご紹介します。
画像: 母の手作り弁当が「実は苦手だった」本音を伝えられなかった高校時代 → 数年後、思いきって伝えたら

苦手な味

高校時代、母が毎朝作ってくれたお弁当は、どこか“母の理想”が詰まったような見た目でした。

色とりどりの野菜に、タコさんウインナー、そして必ず入っていたのが、ふわふわの甘い卵焼きでした。

友人達には、
「見た目かわいい!」
「お母さんすごいね~」
と褒められ、笑って頷いていた私。

でも実は、ずっとあの甘さが苦手だったのです。

なかなか言えない

それでも当時、母には言えないままでした。

『せっかく作ってくれているのに』と思うと、残すのも悪い気がして、教室でそっと卵焼きだけ友達に食べてもらったことも一度ではありません。

その後、大学生になって一人暮らしを始め、実家を離れた私。

帰省のたびに、母は
「お弁当、また作ってあげようか?」
と楽しそうに尋ねてくれます。

「ううん、大丈夫」
そう言ってやんわり断っていたけれど、あの卵焼きがずっと胸に引っかかってモヤモヤしていました。

打ち明けると?

ある年の正月、母とキッチンで並んで料理をしていたとき、何気なく
「あの卵焼き、甘かったよね」
と口にした私。

「えっ?」
「もしかして嫌いだったの?」
と母は驚いたような顔をしていました。

そこで正直に気持ちを伝えることに。

「うん、ちょっと苦手だった」
「昔は言えなかったけどね」

すると母は、笑いながらこう言ってくれたのです。

「もっと早く言ってよ〜!」
「あれ、お父さんの好みに合わせていたのよ」
「あなたの味覚に合わせて作ればよかったわね」

その言葉を聞いて、なんだか拍子抜けした私。

あんなに遠慮して、言えなくて、お弁当の時間がちょっと憂鬱だったのに......。

母は私からの苦情を悪く思うどころか、むしろ“もっと早く知りたかった”と言ってくれて、なんだかホッとしました。

素直に伝えよう

親子だからこそ言えないこともありますが、遠慮しないほうがうまくいくこともあるものです。

今では、
「あの味が苦手だった」
「これ美味しかった」
と、母と素直に料理の話をできるようになりました。

【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2025年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:一瀬あい
元作家志望の専業ライター。小説を志した際に行った女性への取材と執筆活動に魅せられ、現在は女性の人生訓に繋がる記事執筆を専門にする。特に女同士の友情やトラブル、嫁姑問題に関心があり、そのジャンルを中心にFTNでヒアリングと執筆を行う。

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.