人は誰しも『自分の思い通り』になることを願っているはずです。多くの人間関係では、なかなか自分の思い通りに他人を動かすことはできません。しかし、子育てではいかがでしょうか。場合によっては親の押し付けで子を思い通りに動かせてしまうケースがあります。今回は筆者の知人が、親に感謝するきっかけとなった『子どもを所有物扱いしてしまっていた母親』についてのエピソードを紹介します。
画像: <嫁姑問題で「孫との縁」を断つべきか?>大人の感情的な対立が、子どもの人間関係に及ぼしたもの

結婚の挨拶

当時彼だった夫からプロポーズを受け、彼の両親に挨拶へ行きました。
その帰り際、彼の母からこう言われたのです。

「〇〇本家には挨拶とかしなくていいよ。っていうかあの家族と私のそりが合わないから関わらないでほしいの」

〇〇本家とは、義母にとっての義実家、つまり夫にとっての父親側の祖父母一家のこと。

事情が分からなかったため、その場ではあいまいな返事しかできませんでした。

義母の思いと夫の思い

彼の両親に挨拶に行ってから数日後、夫とあの話をする機会が訪れました。

夫の話では、義母は義実家を嫌っているそうですが、夫にとっては大好きな祖父母だそうです。
しかし、義母が会わせることを拒否したため、父親側の祖父母にはあまり会わせてもらえない幼少期を過ごしたと教えてくれました。

それを聞き、私は自分の母親のことを思い出さずにはいられませんでした。

子ども個人を尊重した母

大人になってから知った事実なのですが、私の実母は若い頃、かなりの嫁いびりに遭っていたそうです。
子どもながらに「おばあちゃんはママに冷たいな」と感じたこともあったくらいなので、当時は凄まじかったのだと思います。

しかし、祖母は私たち孫にはとても優しく、いいおばあちゃんでした。

そんな状況下で母は、私たちに祖母の悪口を言うようなことはせず、母親側の祖父母と同じように父親側の祖父母と会う機会を与えてくれました。

当時の母の気持ちを思えば、嫌がらせをしてくる姑と我が子を会わせるのはハッピーなことではなかったはずです。
しかし、嫁姑問題と私たちは無関係だと、私たちと祖母との関係を守ってくれたのです。

いま思うこと

いくら親であっても自分の感情に左右され、子どもが誰と関わるのか関わらないのかを制限する権利はありません。

しかし、苦手意識のある相手と、大切な我が子をわざわざ会わせたくないと思ってしまう気持ちもわかります。

私は私を尊重してくれる姿を見せてくれた母のおかげで、母になった今、子どものことを何より尊重できる母親になりたいと思っています。

【体験者:30代・女性自営業、回答時期:2025年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Emi.A
夜の世界での接客業を経て、会社員に転身。その経験を生かして、男女の人間関係を中心にコラムを執筆。結婚と出産の際に会社員として苦労した経験を経て、働く母親世代の思いにも寄り添うべく、執筆業専門に転身。現在は、男女関係、ワーキングマザーのリアルを描くライティングを行う。

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