結婚で家族になったはずなのに、どうしてか心がすれ違ってしまう。そんな“嫁姑問題”は、決して他人事ではありません。今回は、筆者の50代知人女性Aさんの物語を紐解きます。

しかし、息子から返ってきたのは、まさかの言葉でした。
「嫁いびりなんてやめてよ、母さん」
息子もまた、母と嫁の間に挟まれ、どうしていいか分からなかったのかもしれません。でも、その一言はAさんの心に深く突き刺さりました。
これまでのAさんの苦労は、息子にはまったく理解されなかったのです。
「そんなに大切なお嫁さんなら、嫁いびりする姑と同居させてはいけないわ」
衝動的に、Aさんは同居解消を言い渡しました。

平穏と、穴の空いた心

夫婦二人だけの生活に戻り、平穏な日々が戻ってきたけれど、Aさんの心にはぽっかりと穴が空いたような寂しさがあります。

息子にまで理解されなかったことで、Aさんは自問自答を繰り返しました。

「私は本当に、遠慮をしていなかったのか?」

お嫁さんに「遠慮はしないでおこう」と言われたとき、Aさんはきっと「お互いに察し合って、私に優しくしてくれる」という意味で解釈していたのでしょう。しかしお嫁さんは「ありのままの自分を見せ、気を遣わずに過ごす」という解釈だったことで、すれ違いが生まれてしまったのかもしれません。

Aさんは「本音で向き合う」という大義名分のもと、実際には自分の気持ちを言葉にすることを「遠慮」し、お嫁さんが自分と同じように「察してくれる」ことを期待していたことに気づいたのです。

長年積み重ねてきたAさんの価値観と、違う環境で育った人の価値観がぶつかるのは、当然のことです。それを認め、まず自分の気持ちを丁寧に伝えることから、本当の「家族」は始まるのかもしれないとAさんは思いました。

【体験者:50代・女性主婦、回答時期:2025年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:安藤こげ茶
自身も離婚を経験しており、夫婦トラブルなどのネタは豊富。3児のママとして、子育てに奮闘しながらもネタ探しのためにインタビューをする日々。元銀行員の経験を活かして、金融記事を執筆することも。

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