これは筆者自身の体験です。
ある日、息子と歩いていると見知らぬおばあさんに「子供は一人? もう一人産みなさい」と言われました。不妊治療の末に授かった大切な子を育てるだけで精一杯の私にとって、その言葉は重く心に刺さりました。他人の価値観を押しつけられる苦しさを実感した出来事です。
画像: 突然「もう一人産みなさい」【通りすがりのおばあさん】からの説教に、我慢できなかった私は、、、

突然の質問に戸惑い

ある日、息子と二人でスーパーへ向かって歩いていたとき、見知らぬ70歳くらいのおばあさんに突然声をかけられました。開口一番、「あなた、子供は一人?」と聞かれ、「はい、そうです」と答えると、間髪入れずに「もう一人産みなさい。子供は二人以上いた方が絶対にいいのよ。私も二人産んだから、あなたもそうしなさい」と言われたのです。まるで当然のことのような口ぶりに、思わず言葉を失いました。

価値観を押しつけられてモヤモヤ

実は私は高齢出産で、不妊治療の末にようやく授かった大切な子供。一人育てるだけでも必死なのに、「産みなさい」と軽々しく言われたことに、心がざわつきました。それだけでなく、そのおばあさんは自分の子育て経験を一方的に語り続け、こちらの事情や気持ちには一切関心を示しません。「二人いないと可哀想よ」「きょうだいは必要よ」と、価値観を押しつけるような言葉に、私は内心かなりモヤモヤしていました。

思わず伝えた本音

「それを決めるのはあなたじゃない」――心の中でそう何度もつぶやきながらも、ついに我慢できず、私は静かに、しかしはっきりとこう伝えました。
「子供を産みたくても、いろんな事情で産めない人もいるんですよ」
その瞬間、おばあさんは驚いたように黙り込み、「あら、そうなの? じゃあしょうがないわね」とつぶやいて立ち去っていきました。強い口調ではなかったけれど、私の言葉は少なくとも彼女に一石を投じたように思えました。

家族の形に「正解」はない

もちろん、その一言で完全に解決したわけではありません。しかし、もし私の返事が彼女に少しでも「他人の立場を考えるきっかけ」を与えられたのなら意味があったのかもしれません。今の時代、家族の形も子供の人数も人それぞれ。誰かの価値観をそのまま押しつけるのは、もう通用しないのです。
子供の人数に正解なんてありません。それぞれの家庭に、それぞれの事情と形がある。だからこそ、もっと優しい価値観が広がってほしい――私は心からそう願っています。

【体験者:40代・筆者、回答時期:2025年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:北田怜子
経理事務・営業事務・百貨店販売などを経て、現在はWEBライターとして活動中。出産をきっかけに「家事や育児と両立しながら、自宅でできる仕事を」と考え、ライターの道へ。自身の経験を活かしながら幅広く情報収集を行い、リアルで共感を呼ぶ記事執筆を心がけている。子育て・恋愛・美容を中心に、女性の毎日に寄り添う記事を多数執筆。複数のメディアや自身のSNSでも積極的に情報を発信している。

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