筆者の話です。
クレーム対応で、何気なく口にした“常套句”にお客様が激怒。
「今後は自分には関係ない!」と怒号を浴び、形式的な言葉の危うさを痛感した出来事です。
画像: 「今後はこのようなことのないよう──」「関係ないわ!」クレーム対応で、客の怒号にハッとさせられたワケ

クレーム対応を支える「安心フレーズ」

コールセンターで管理者をしていた頃のことです。
数えきれないほどのクレーム対応を経験しましたが、その都度、独特の緊張感に包まれました。
お客様の怒りに正面から向き合うことは容易ではなく、私はできるだけ丁寧に、感情を抑えて話すよう心がけていました。

そんなとき、対応の締めくくりについ頼ってしまうのが常套句。
「今後はこのようなことのないようにいたします」という言い回しです。
クレーム対応を締めくくるのに便利で、どのケースでも通じる安心フレーズだと思い込み、当たり前のように口にしていました。

怒号で突きつけられた現実

ところがある日、その言葉が裏目に出ました。
いつもと同じように口にした途端、電話口のお客様の声が急に大きくなり、勢いよく遮られたのです。

「今後は自分には関係ない! 今の話をしているんだ!!」
強い口調に押し込まれ、耳の奥に突き刺さるようでした。
電話越しにも怒りの熱が伝わってきて、思わず背筋が固まりました。

その瞬間、私は自分の言葉がいかに形式的で、相手の気持ちに寄り添えていなかったかを突きつけられた気がしたのです。

「今後は関係ない」の衝撃

私にとっては無難で安全な言葉でも、相手にとっては「目の前の怒りを無視された」としか感じられなかったのかもしれません。
便利だから、正しいからと繰り返してきたフレーズが、むしろ相手の感情を逆なでしていたのです。

言葉を投げかける側の“自己満足”で終わっていたのだと、思い知らされることに……。
相手のためではなく、自分が無難に切り抜けるための言葉だったと痛感した瞬間でした。

形式よりも「今」に向き合う

言葉は便利ですが、形式に頼りすぎると相手の心には届かない。
取り繕うのではなく、相手が『今』何に怒り、何を求めているのかに真正面から向き合うこと。
その大切さを学んだ体験は、今も私の対応の指針になっています。

『今』起きていることに向き合うことこそが大切だと学んだ、忘れられない一件です。

【体験者:50代女性・筆者、回答時期:2025年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。

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