家庭を守るための選択は、時に自分を犠牲にする覚悟を伴います。でも、良かれと思って重ねた我慢が、実は一番大切なものを傷つけていた、ということもあるようです。今回は、筆者の知人のエピソードをご紹介します。
画像: 子どものために離婚を踏みとどまった私。我慢が招いた【波紋】に、後悔してもしきれない、、、!

少しずつ冷えていった、夫婦の距離

結婚当初は穏やかで、子育ても協力的だった夫。
ところが仕事が忙しくなるにつれ、帰宅は遅く、休日もスマホばかりで会話は減っていきました。

私は専業主婦として家庭を支えようと必死でしたが、夫の無関心や小さな暴言に心がすり減っていきました。
穏やかだったはずの我が家から、いつの間にか温かい空気が消えていたのです。

息子のための“我慢”

夫の転職で、私たちのすれ違いは決定的になりました。
さらに多忙になった夫との話し合いは、いつも険悪なムードに……。

そうなってもまだ、離婚は考えられませんでした。
小学生の息子を「経済的に困らせたくない」「片親にしたくない」という思いが、踏みとどまらせていたのです。

その思いは、いつしか自分を縛る鎖のように重くなっていきました。
私が我慢すれば、きっといつか元に戻れる。
そう信じて、自分の心を押し殺す日々でした。

突き刺さった息子の言葉

しかし、私の我慢は、家庭の空気を良くするどころか、さらに悪くしていました。
息子の笑顔が日に日に減り、大好きだったサッカーの話もしなくなり、成績も落ち始めたのです。

そしてある日、夫婦の言い争いを耳にした息子がつぶやいた一言が、私の胸に深く突き刺さりました。

「こんな家、いやだ……」

守っているつもりが、逆に息子を苦しめていたと気づかされた瞬間でした。

我慢をやめた先に見えた、本当の幸せ

結局、その数ヵ月後に私は離婚を決断。
仕事を見つけて、息子と2人で新しい生活を始めることになりました。
息子は少しずつ笑顔を取り戻し、今では穏やかな毎日を過ごしています。

距離を置いたことで、夫とも冷静に話し合いができるようになり、年に数回ですが家族3人で食事をすることもあります。

振り返ると、我慢を続けた時間はもったいなかったと思います。
もっと早く決断していれば、不要な傷を避けられたはず。

子どものために踏みとどまることが正解な場合もありますが、それが家族全体の幸せを遠ざけることもある……息子の言葉で、私はそれを痛感しました。

【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2025年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。

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