医師として忙しく働きながら、料理も掃除も子育ても頑張る筆者の友人・E子さん。それでも義父からは「嫁ちゃんは若いから」と毎日見下される日々でした。ところが義父が倒れた夜、その専門知識が状況を一変させた痛快な実話です。
画像: 義父「若い嫁に何が分かる!」説教後、倒れて救急搬送 → 私を『先生』と呼ぶようになったワケ

経験が浅いね

「嫁ちゃんは若いから分からないんだよ」

E子さんと顔を合わせるたび、義父から飛んでくるこの言葉。

玄関は別ですが、キッチンや洗濯機は共用の二世帯生活です。

医師として働きながら家事と子育てをこなしても、義父の目には「若い嫁」としてしか映りません。

「まだまだ半人前だわ、経験が浅いね」と言われる日々。

そんな義父の態度に、E子さんは言い返したい気持ちをぐっと堪えていました。

義父のピンチ

ある日、義父が「胸が苦しい」と訴えたため、E子さんは循環器の病気を疑って受診を勧めました。

「お義父さん、念のため病院で検査を受けませんか?」

しかし義父の返事は冷たいものでした。

「素人が何を言う」

取り合ってもらえません。

E子さんは医師として、症状の深刻さを感じ取っていました。

「若い嫁に何が分かる? 内科の女医が、素人と変わらんくせに!」

義父は怒ったように手を振り払います。

救急搬送

その夜、義父は突然倒れました。

救急車に同乗したE子さんは、そのまま医師としてできる限り義父を支えました。

病院では救命救急の当直医がE子さんから引継ぎ。緊急検査の結果は急性心疾患。

E子さんの判断が正しかったのです。

救急医がベッドの義父に声をかけます。

「ご家族の判断が早かったですね。ご家族は医師ですか?」

義父は目を伏せたまま、小さな声で答えました。

「はい、そうです……」

義父はベッドの上から、白衣を着たE子さんを見上げて言いました。

「先生、すみませんでした」

「嫁ちゃん」から「先生」に

義父の「先生、すみませんでした」という謝罪をきっかけに、二人の関係は一変しました。

それまで「嫁ちゃん」と呼んでいた義父が、その日からは「先生」と呼び、体調の相談まで持ちかけるようになったのです。

料理や掃除への口出しもなくなり、
「仕事で忙しいのに、いつもありがとう」と労う言葉が増えました。

立場でも年齢でもなく、確かな知識と行動が築いた信頼関係。

E子さんは複雑な気持ちもありましたが、やっと対等な関係になれたのかもしれません。

【体験者:30代・女性/内科医、回答時期 2021年2月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:神野まみ
フリーランスのWEBライター・コラムニスト。地域情報誌や女性向けWEBメディアでの執筆経験を活かし、医療・健康、人間関係のコラム、マーケティングなど幅広い分野で活動している。家族やママ友のトラブル経験を原点とし、「誰にも言えない本音を届けたい」という想いで執筆を開始。実体験をもとにしたフィールドワークやヒアリング、SNSや専門家取材、公的機関の情報などを通じて信頼性の高い情報源からリアルな声を集めている。女性向けメディアで連載や寄稿を行い、noteでは実話をもとにしたコラムやストーリーを発信中。

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