医師として忙しく働きながら、料理も掃除も子育ても頑張る筆者の友人・E子さん。それでも義父からは「嫁ちゃんは若いから」と毎日見下される日々でした。ところが義父が倒れた夜、その専門知識が状況を一変させた痛快な実話です。

救急搬送

その夜、義父は突然倒れました。

救急車に同乗したE子さんは、そのまま医師としてできる限り義父を支えました。

病院では救命救急の当直医がE子さんから引継ぎ。緊急検査の結果は急性心疾患。

E子さんの判断が正しかったのです。

救急医がベッドの義父に声をかけます。

「ご家族の判断が早かったですね。ご家族は医師ですか?」

義父は目を伏せたまま、小さな声で答えました。

「はい、そうです……」

義父はベッドの上から、白衣を着たE子さんを見上げて言いました。

「先生、すみませんでした」

「嫁ちゃん」から「先生」に

義父の「先生、すみませんでした」という謝罪をきっかけに、二人の関係は一変しました。

それまで「嫁ちゃん」と呼んでいた義父が、その日からは「先生」と呼び、体調の相談まで持ちかけるようになったのです。

料理や掃除への口出しもなくなり、
「仕事で忙しいのに、いつもありがとう」と労う言葉が増えました。

立場でも年齢でもなく、確かな知識と行動が築いた信頼関係。

E子さんは複雑な気持ちもありましたが、やっと対等な関係になれたのかもしれません。

【体験者:30代・女性/内科医、回答時期 2021年2月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:神野まみ
フリーランスのWEBライター・コラムニスト。地域情報誌や女性向けWEBメディアでの執筆経験を活かし、医療・健康、人間関係のコラム、マーケティングなど幅広い分野で活動している。家族やママ友のトラブル経験を原点とし、「誰にも言えない本音を届けたい」という想いで執筆を開始。実体験をもとにしたフィールドワークやヒアリング、SNSや専門家取材、公的機関の情報などを通じて信頼性の高い情報源からリアルな声を集めている。女性向けメディアで連載や寄稿を行い、noteでは実話をもとにしたコラムやストーリーを発信中。

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