筆者の話です。
久しぶりに帰省すると、母は止まらないおしゃべりモードに。
気づけば、私の話は途中で遮られてばかりでした。
そんな母を見て、胸に広がった思いとは……?
画像: 私が話し出すと「それよりこの間さぁ」途中で遮る母にモヤモヤ。でも『理由』に気づき「少し切ない」

実家への帰省

実家に帰ると、母と買い物に行ったり、家の片づけを手伝ったりするのが恒例です。
到着するとまず仏壇に手を合わせ、冷蔵庫の中身を一緒に見て、必要な物を書き出し、そのメモを片手に、母と一緒に買い出しに向かう。
そんな過ごし方が、私たちのいつもの帰省スタイルになっていました。

私の話はいつも途中で終わる

車を走らせながら、私は「この前ね、仕事でこんなことがあって」と話し始めました。
母は「へえ、そうなんや」と相づちを打ちますが、少しすると「それより、この間ね!」と声の調子を変えて、自分の話に切り替えてしまいます。

オチを言う前に会話が終わり「あ、また聞いてもらえなかったな」と思います。
話したいことがあっただけに、少し胸の奥がしゅんとしました。
悪気がないのは分かっていますが、最近は気づけば母の話を聞くばかり。
私の話は、どこか途中で置き去りになってしまうのです。

母が話し続ける理由に気づく

父が亡くなってから、母は実家でひとり暮らし。
足が悪く、外出は近所のスーパー程度になりました。
働いていた頃は同僚や友人と頻繁に話していた母も、今では人と話す機会がめっきり減っています。
思いついたことを次々と話す母の姿に、かつては社交的だった人が、今は話し相手を求めているのだと感じます。
寂しさを紛らわすように、話題を切り替えてしまうのかもしれない。
誰かとつながっていたいという母の気持ちが、言葉の端々からにじんでいるようでした。
そう思うと、胸の奥にじんとしたものが広がりました。

母の話をもっと聞こうと思った

母には、話したいことがきっと山ほどあるのでしょう。
話を奪われて寂しい気持ちもあったけれど、それ以上に母の孤独を思うと切なくなりました。
母は、話せる相手がいるだけで表情が柔らかくなる。
だから、次はもう少し母の話を聞こう。
そう思った帰省の時間でした。

【体験者:50代女性・筆者、回答時期:2025年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。

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