職場によってはちょうど小腹が空いた頃である15時くらいに、誰かのお土産や差し入れを配って食べる「おやつの時間」があるところもありますよね。今回はそんなおやつの時間に起きた事件を、その真っ直ぐさで見事解決するところを見た経験のある筆者の知人、Tさんのお話です。
画像: 気に入らない人には『お菓子を配らない』職場の意地悪を止めた、新入社員の「天然ツッコミ」に胸スカッ

おやつの時間

当時Tさんが働いていた会社では、毎日15時になると誰かがコーヒーを淹れて、皆でひと息つくという通称「コーヒータイム」がありました。

コーヒーには飲みたい人が毎月お金を出しあって買った少し質の良い豆を使用しており、Tさんを含む社員たちは毎日そのコーヒータイムを楽しみにしています。

コーヒータイムでは誰かのお土産や取引先に頂いた差し入れなどのお茶菓子が一緒に配られます。これは会社で頂いたものなのでコーヒーを飲まない人にも平等に配るのが暗黙のルールでした。

しかしTさんの同僚である女性社員、その名もRさんは、自分の気に入らない女性社員にはお菓子を配らないという行為をします。

その女性社員はコーヒーが飲めない体質なのでコーヒーを飲まず、いつもお茶を持参しているのですが、Rさんはその女性社員を飛ばしてお菓子を配るのです。

誰かに指摘されると「コーヒーを配るついでにお菓子を配るから、つい忘れちゃって」ととぼけていました。

その女性社員はとてもおとなしい人で、誰かがRさんの行為を注意すると「いいのよ」と言ってもめ事になるのを避けようとするのでした。

「Rさんのお菓子配りの件、どうしたもんかな……」
Tさんはできるだけ自分がお菓子を配る役を買って出るなど、なんとかRさんの意地悪を防ごうとしていました。

新入社員の、純粋な問いかけ

お菓子飛ばしが続いていたある年、Tさんの会社に新入社員が入ってきました。

とても明るい女性社員で、仕事には積極的、物事を素直に受け止める一面もあり、すぐにTさんをはじめとする先輩社員に可愛がられる存在に。

「さあ、お待ちかねのコーヒータイムよ」
ある日のコーヒータイム。Rさんがお菓子を配ることになり、いつものようにおとなしい女性社員を飛ばしてお菓子を配り始めました。

「あのー、R先輩」
突然新入社員がRさんに声をかけました。
「なんで〇〇さんには配らないんですか? いつもですよね、アレルギーか何かあるんですか?」
新入社員はRさんが不公平な配り方をしていることを全くわかっていないようで、不思議そうにそう聞きました。

「いや、それは……」
新入社員の教育係を担当していたRさんは何も答えられず、「ごめん忘れてた」と言って女性社員のデスクにお菓子を置きました。Tさんは新入社員によく聞いた! と言いたかったものの、本人はまったくそのつもりがないようなので黙っていました。

それからというものRさんの不公平な配り方はなくなり、皆が安心してコーヒータイムを楽しめるようになったそうです。

忙しい仕事の中の安らぎのひとときで誰かを悲しませるような行為をするのは、された人だけではなく周りの雰囲気を悪くしてしまいますよね。ちゃんと配ってくれるようになって良かったです。天然な人の純粋な一言は最強ですね。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。

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