家族が大変な時、一番に頼りたいのはやっぱりパートナーですよね。支えがあるからこそ、困難に立ち向かえることも多いはずです。でももし、そんな時に相手から思いがけない言葉をかけられたら……? 今回は筆者の友人の体験談をご紹介します。

沈黙のあとに語られた想い

私の言葉に夫は黙って耐え、やがて静かに言いました。
「分かっているからだよ。分かっているから、賛成なんてできるわけがない」

夫の目には、過去の介護の疲れと悲しみが色濃く残っているようでした。
「君を、俺と同じ目には遭わせたくないんだ」

きれいごとでは済まない現実、終わりが見えない中で優しさがすり減っていく恐怖、そして家族に苛立つ自己嫌悪……。

夫はそれを1人で背負ったからこそ、私に同じ思いをさせたくなかったのです。

娘として、笑って向き合える今

「金は俺が何とかする。だからプロを探そう。君は、お義母さんの前では、ただ笑って“娘”でいなよ」

突き放すような言葉の裏には、私に同じ苦しみをさせたくないという夫の深い優しさがあったのです。
私は自分の浅はかさを恥じました。

その後、ケアマネージャーにも助けてもらいながら、母に合った施設を探しました。
今では、心に余裕を持って母と笑い合えています。

あの時、夫が止めてくれなければ、きっと母を疎ましく思う瞬間が来ていたはず。
夫が私の「娘でいられる道」を選ばせてくれたことに、今は感謝しかありません。

【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2025年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。

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