婚活中の筆者の知人A子が出会ったのは、顔も学歴も職歴も理想通りの男性。やり取りも順調で、数回のデートを重ねて距離も縮まってきました。
そう思っていた矢先、ふとした一言がきっかけで、2人の関係を見直すことになったそう。
条件だけでは決められない「人と人との相性」の難しさを改めて考えさせられた出来事を話してくれました。

ふいに感じた違和感

お茶碗のご飯を一粒残さず食べていた私に、彼がポツリと言いました。

「茶碗の米粒、残さず食べるって、なんか貧乏くさくない?」

「え、今、なんて?」その瞬間、胸の奥がざわつきました。自分の大事にしてきたものを否定されたような感覚を覚えたのです。

「貧乏くさい?」小さいころから「ご飯は残さない」と教えられてきた私にとって、それは当たり前で、むしろ丁寧に生きる姿勢だと思っていたからです。

「え? もったいないから食べてるだけだけど」

そう返すと、彼は少し笑いながらこう言いました。

「なんとなく。そういうのって、余裕なさそうでさ」

「この間、ラーメン食べた時はスープ残してたよね?」

確かにラーメンのスープは残しましたが、塩分の多いスープ全部飲まずに控えることと、ご飯を一粒残さず丁寧に食べることとは話の次元が違うと思うのです。

そうか、私が大切にしているものを、この人は笑うんだ。

その時、 心の奥で、静かに線を引いた気がしました。

自然に離れていく心

あの日を境に、少しずつ連絡の頻度が減っていきました。

私からも彼からも積極的に誘うことはなくなり、やり取りは自然と途切れていきました。お互い、どこかで察していたのかもしれません。

理想の条件が揃っていても、「この人と一緒にいたい」と思える気持ちがなければ続かない。

価値観の違いがそれを静かに教えてくれた出来事でした。

この経験もひとつの糧にして、また新しい出会いに向かって歩き出そう。今はそんな気持ちでいます。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Yumeko.N
元大学職員のコラムニスト。専業主婦として家事と子育てに奮闘。その傍ら、ママ友や同僚からの聞き取り・紹介を中心にインタビューを行う。特に子育てに関する記事、教育機関での経験を通じた子供の成長に関わる親子・家庭環境のテーマを得意とし、同ジャンルのフィールドワークを通じて記事を執筆。

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