思春期の娘との衝突、謝ってばかりの毎日。すれ違いを重ね、ついには絶縁状態となった親子。あのとき言えなかった“想い”が、ようやく届いた瞬間がありました。これは、筆者の知人・Tさんが語ってくれた、親子再生の物語です。

「僕や両親が話を聞く中で、“ママに相談できたらな”って、奈々ちゃんは何度もつぶやいていたんですよ」

その言葉を聞いた瞬間、Tさんの視界がじんわりと滲みました。
遠くに行ってしまったと思っていた心は、実はずっと、すぐそばにあったのだと感じたのです。

沈黙を越えて、涙でつながる親子の絆

結婚式当日。Tさんは、 親子のあいだに続いた長い沈黙が、少しでも埋まってくれたら。そんな願いを胸に抱いていたそうです。

披露宴のスピーチで、奈々さんは静かに語り始めました。
「私がここまで来られたのは、お母さんのおかげです。たくさんぶつかったけど、ずっと感謝していました」

その言葉に、Tさんは声をあげて泣きました。
あの日々が決して無駄ではなかったこと。長い沈黙のなかにも、確かな愛が息づいていたことを、ようやく感じることができたのです。

幸せな人生は、誰かから与えられるものではない。
娘が自分の足で立ち、あたたかな家庭を築こうとしている姿を見て、Tさんはようやくそのことに気づいたそうです。
「あの日ふたたび、親子に戻れたんです」
取材の最後にこぼれたその言葉が、すべてを物語っていました。

【体験者:60代・会社員女性、回答時期:2022年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:神野まみ
フリーランスのWEBライター・コラムニスト。地域情報誌や女性向けWEBメディアでの執筆経験を活かし、医療・健康、人間関係のコラム、マーケティングなど幅広い分野で活動している。家族やママ友のトラブル経験を原点とし、「誰にも言えない本音を届けたい」という想いで執筆を開始。実体験をもとにしたフィールドワークやヒアリング、SNSや専門家取材、公的機関の情報などを通じて信頼性の高い情報源からリアルな声を集めている。女性向けメディアで連載や寄稿を行い、noteでは実話をもとにしたコラムやストーリーを発信中。

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