「もう一花咲かせる!」と舞い上がった夫が選んだのは、SNSで知り合った若い女性。思い上がった“勝ち女”と“イケオジ気取り”の末路はあまりに皮肉なものでした。これは、私の知人・千恵さん(仮名)が体験した裏切りと再生の記録です。
画像: “イケオジ気取り”で不倫した夫の「本性」と、略奪婚3ヶ月で【地獄に落ちた】“勝ち女”の転落人生

“派手好き”夫の違和感

千恵さんは、60代の夫と20年以上連れ添ってきました。
夫は昔からオシャレ好きで、スーツや靴、小物にも強いこだわりを持っていたそうです。

会社では役職にも就き、それなりに華やかな暮らしをしていました。
しかし退職後も生活レベルを落とせず、夜の外出やブランド志向はそのままでした。

そんな夫がSNSを始めた頃から、少しずつ様子に変化が出てきます。
スマホを見てはひとりで笑うようになり、外出の理由も曖昧になったのです。

「なにか、浮かれてる?」
千恵さんの胸に、小さな違和感が芽を出しました。

したたかな勝者

夫は“もう一花咲かせる”と浮かれて、SNSで知り合った若い女性と不倫関係に走りました。
イケオジ気取りで、夜な夜な外出。スマホの画面ばかり見て、誰かとやりとりを続けていました。

不倫相手は「彼を絶対奪う!」と、SNSで堂々と宣戦布告。
SNSには挑発的なメッセージや、夫との写真が並び始めました。

やがて夫は「彼女とやり直したいから、欲しいものは全部持っていってくれ」と千恵さんに頭を下げたのです。
突然の“夫婦卒業宣言”。その口ぶりに、罪の意識は感じられませんでした。

千恵さんは、冷静に弁護士へ相談しました。
慰謝料も財産分与も、きっちりと多めにもらい、自宅などの不動産も含めて離婚条件を整理し、手続きを終えました。

その後、“勝ち女”は略奪婚に成功し、SNSにラグジュアリーな暮らしを演出して次々と投稿していました。
ワイングラスを掲げるツーショット。高級ホテルの朝食。ブランドショップの袋を片手に腕を組む写真。
「人生逆転」「歳の差リッチ夫婦」そんなタグをつけて、誇らしげにアップし続けていました。

まさかの電話

そんなある日、千恵さんのスマホに、見知らぬ番号から着信がありました。
相手は、かつて夫の不倫相手だった女性。今や“妻”となり、SNSでは“勝ち女”を名乗っていた人物です。

開口一番に放たれたのは、あきれるほど身勝手なひと言でした。
「そっちで分けた財産、少し分けてもらえませんか?」

夫のスマホを勝手に覗き、千恵さんの連絡先を探し出してかけてきたそうです。
その非常識さに、千恵さんはしばらく言葉が出ませんでした。

さらに、“勝ち女”の口から語られたのは、彼女自身が知らなかったものの、千恵さんには見慣れた元夫の本性でした。
上から目線のモラハラ気質に加えて、浪費癖もあり、クレジットカードは常に限度額ギリギリ。
加齢臭が混じった汗をぬぐい、鼻をほじった手でそのまま服を触るだらしない姿に、彼女の愛情は急速に冷めていったそうです。

「もうサイアク~! よくこんな人と一緒にいられましたね」

ただ、時すでに遅し。
千恵さんとの離婚で夫は財産のほとんどを手放しており、“勝ち女”が去る頃には分けるものなど残っていませんでした。

結婚生活はわずか3ヶ月で終了。
自分が望んだ“ラグジュアリーな暮らし”とは程遠い現実に絶望し、実家にも戻れず、行き場を失っていたそうです。

今は2LDKの安アパートで暮らし、預金も底をついた状態。
SNSで見せびらかしていた“キラキラ生活”も、すっかり途絶えていました。

奪って得られるものは、限られている

その後、元夫からも着信がありました。
今さら何の用かと思いながら出てみると、泣きそうな声でこう懇願してきたそうです。

「頼む……戻ってきてほしい」
半べそで泣きつくその声に、千恵さんは思わず絶句しました。

かつて、自らすべてを投げ出して出て行った男。
その口から、あまりに勝手すぎる言葉が出てきたことに、驚きよりも呆れが込み上げたといいます。

話を聞くうちに、生活の苦しさや孤独、不倫相手との破綻、財産を失ったことまで。
夫自身の口から、次々と語られました。
あれほど誇らしげだった態度も、その頃にはすっかり影を潜めていたそうです。

取材の最後、千恵さんは静かにこう語りました。
「身から出た錆よ」

そして、ぽつりとつぶやいたひと言が印象に残っています。
「人生、奪って得られるものって、たかが知れてるのよ」

過去はなかったことにはできません。
けれど、自分の足で立ち上がる強さがあれば、人生はやり直せる。
千恵さんの笑顔は、そう感じさせるほど穏やかで、凛としていました。

【体験者:50代・女性主婦、回答時期:2023年2月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:神野まみ
フリーランスのWEBライター・コラムニスト。地域情報誌や女性向けWEBメディアでの執筆経験を活かし、医療・健康、人間関係のコラム、マーケティングなど幅広い分野で活動している。家族やママ友のトラブル経験を原点とし、「誰にも言えない本音を届けたい」という想いで執筆を開始。実体験をもとにしたフィールドワークやヒアリング、SNSや専門家取材、公的機関の情報などを通じて信頼性の高い情報源からリアルな声を集めている。女性向けメディアで連載や寄稿を行い、noteでは実話をもとにしたコラムやストーリーを発信中。

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