今回は、知人のB子さんに聞いた、義実家での思いがけない心の交流を描いたエピソードをご紹介します。嫁として無理を重ねていたB子さんに、ある日義母がかけてくれた一言が、心の氷をそっと溶かしてくれたそうです。
画像: 「居場所がない」と感じていた義実家。「嫁ちゃん、あのね──」私の心を溶かしてくれた『義母の言葉』

義実家=緊張の連続

結婚して3年。何度も義実家に行っているのに、私はいまだに“居場所がない”と感じていました。
義母は礼儀正しく、冷たいわけではないのですが、どこか壁を感じるのです。
「〇〇家の味って大変よね」「うちはこうだから」が口ぐせの義母。
私は何か間違えないように、毎回気を張って動き、帰るころにはぐったり。
夫には「気にしすぎ」と言われますが、それが一番しんどいのです。

無理しすぎた私に、義母が……

ある日、義実家に泊まりに行ったときのこと。
朝食の準備中に、私は慣れない台所で皿を割ってしまいました。
思わず「すみません」と謝ると、義母が静かに立ち止まり、「B子さん、そんなに気を遣わなくていいのよ」と言ったのです。
意外な言葉に、私は返事ができませんでした。
すると義母は、続けてこう言いました。
「最初のころの私も、義実家に行くのが本当に憂うつだったの。でもね、気を遣われてると、こっちもつらくなるのよ」
私は、その言葉に心がふわっと軽くなるのを感じました。
ずっと“嫁”として正しくあろうとしすぎて、自分をすり減らしていたことに気づいたのです。

距離があるからこそ、大事にできる

その朝、義母と2人で並んで味噌汁を作りました。
沈黙の中にも、少しずつ心が近づいていくのを感じました。
義母は私に、「気を遣わないのと、無神経なのは違うわよ」と笑いながら言いました。
それを聞いて、私は思わず笑ってしまい、涙がこぼれました。

“家族”になっていく時間

それ以来、義実家に行くのが怖くなくなりました。
もちろん、まだまだ緊張することはあります。でも、完璧じゃなくていい。少しずつ“家族”になっていけばいい。
義母のあの一言が、私の中で何度も響きます。
私も、いつか誰かに同じ言葉をかけられるような存在になりたい。そう思えるようになったのです。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:池田みのり
SNS運用代行の職を通じて、常にユーザー目線で物事を考える傍ら、子育て世代に役立つ情報の少なさを痛感。育児と仕事に奮闘するママたちに参考になる情報を発信すべく、自らの経験で得たリアルな悲喜こもごもを伝えたいとライター業をスタート。

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