「同居だけは絶対にしない」──そう心に決めて結婚したA子。しかし、人生は思い通りにいかないものです。姑との同居という譲れなかった条件を飲むことになった彼女を待っていたのは……!?
今回は筆者の知人A子から話を聞きました。
画像: <同居=苦労する?>絶対しないと思っていたけど → 義母と同居して得られた『意外な気づき』とは

「同居だけは絶対にしない」と決めていた

私は、結婚にあたってたった1つだけ、どうしても譲れない条件がありました。それは「義両親との同居はしない」こと。

私の母と祖母の関係は、子どもながらに息が詰まるほどギスギスしていて、家の中はいつもピリピリとした空気が漂っていました。母は何かにつけて私に「絶対に、同居なんてしちゃダメよ」と言い聞かせてきました。

私はそれを呪文のように心に刻み、「同居=苦しみ」と信じて疑いませんでした。

だからこそ、結婚前に夫と「同居はしないよね」と確認し合い、それが叶うことに安心して結婚を決めたのです。

想定外の同居生活、でも……

ところが、数十年経てば状況は変わるもの。夫の実家の諸事情により、結果的に私は姑と同居することになりました。

頭をよぎったのは、母のあの言葉。またあの緊張感に包まれる日々が始まるのかと、正直、不安しかありませんでした。

でも、実際に暮らし始めてみると、姑は私の想像していた「姑像」とはまるで違っていたのです。言いたいことははっきり言うけれど、根に持たず、あとくされがない。そして、私のやり方にも口を出さず、尊重してくれる、そんな人でした。

「こんな風に暮らせるなんて、ちょっと意外かもしれない」
いつの間にか、そんな思いが心をよぎるようになっていました。

「あなたのほうが楽しいわ」と言われて

ある日のこと。夕飯の片づけを終えた後、義母と並んで座っていたときのことでした。

「実の息子より、あなたと話してる方が、ずっと気楽で楽しいわ」

その一言に、不意に胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じました。

「そんな風に思ってくれてたんだ……」

嫁と姑。そんな枠を超えて、人と人として信頼しあえる関係になれた気がして、本当に嬉しかったです。

同居は「苦しみ」ではなかった

母から繰り返し聞かされていた「同居は苦労の始まり」という言葉。私はその影響を、ずっと心のどこかで引きずっていました。

けれど、実際の同居生活は、私の想像とはまったく違っていました。

もちろん、気を使う場面もあるし、ちょっとしたすれ違いもゼロではありません。でも、それ以上に、肩の力がふっと抜けるような瞬間や、思わず笑ってしまうような時間がたくさんあったのです。

「同居=苦労」と決めつけていたのは、私自身だったのかもしれない。そう思えるようになった今、私はもうあのころの「呪文」から自由になれた気がしています。

【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2025年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Yumeko.N

元大学職員のコラムニスト。専業主婦として家事と子育てに奮闘。その傍ら、ママ友や同僚からの聞き取り・紹介を中心にインタビューを行う。特に子育てに関する記事、教育機関での経験を通じた子供の成長に関わる親子・家庭環境のテーマを得意とし、同ジャンルのフィールドワークを通じて記事を執筆。

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.