季節の変わり目や環境の変化で、心が揺らぎやすくなることは誰にでもあります。中高年になると、そこに加齢の影響も重なり、心の状態がさらに複雑になることも。今回は、そんな変化に戸惑った知人夫婦の実話をご紹介します。

限界だった夫の心

しかし、夫の状態は悪化する一方でした。
何をしても楽しそうではなく、表情から笑顔が消え、ため息ばかり。
今思えば、これらはうつのサインだったのでしょう。

ある日、夫がポツリと「もう何もかも面倒くさい」と呟いた時、私は初めて事態の深刻さに気付かされ、意を決して夫を専門のクリニックへ連れて行きました。

そこで夫に下されたのは、「男性の更年期うつ」という診断。
医師からは、男性ホルモンの減少が原因で、精神的に不安定になりやすい時期であると説明を受けました。

ホルモンの変化は、女性だけのものだと思っていた私には衝撃でした。
もっと早く気付いてあげられていたら……その思いが、何度も胸を締めつけました。

夫婦で病気を乗り越えて

その後、夫は投薬治療とカウンセリングを受け始め、少しずつですが元の明るさを取り戻していきました。

夫の回復を目の当たりにして、私は「体の不調だけでなく心の変化にも敏感でいること」そして「“察する”のではなく“伝え合う”こと」それが夫婦にとって大切なのだと、深く反省しました。

更年期は誰にでも訪れるものです。
だからこそ、自分自身や大切な人の変化に耳を傾け、必要なら専門家に頼る勇気も大切なのだ……そう深く心に刻まれた出来事でした。

【体験者:50代・女性主婦、回答時期:2025年3月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。

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