筆者の友人・Kはお姉さんとの2人姉妹。Kの母親は2人が小さい頃から身体が弱く、寝込んだり病院へ行ったりすることが多かったとか。仲の良かった親子に別れが訪れた時、思わぬセリフがお姉さんから飛び出したそうですが……。
画像: 他界した母に対し「亡くなって良かったよ」姉の言葉に絶句 → でも『その真意』に「涙が止まらない」

姉妹

私には3歳違いの姉がいます。
母が身体が弱く、寝込んだり病院へ行ったりすることが多かったため、自然と姉と一緒にいる時間が多かったせいもあって、とても仲の良い姉妹でした。

母は病気を繰り返しながらも、何とか70代まで頑張っていたのですが、コロナ禍前に心臓発作で急逝。
父はすでに他界していたため、私と姉は2人きりになってしまいました。
葬儀後、私が姉に「寂しくなったね」と言うと、姉はとんでもないことを言い出したのです。

怒り

「でもお母さん、亡くなって良かったんじゃないかなぁ」

私は姉の言っている意味が分からず「何でそんなこと言うの!」と思わず声を荒らげてしまいました。自分でも思っていたより母の死が受け止め切れていなかったので、ことさら姉のセリフに反応してしまったのです。
姉と母はとても仲が良かったのに、「亡くなって良かった」という表現はとてもショックでした。

本音

ただ、姉には姉なりの思惑がありました。
「お母さん、ずっと痛いだの苦しいだの言ってたでしょ? すごく楽になったんじゃないかと思うんだよね。あとさ、私、この間病院で検査したら乳がんだったんだよ。お母さんも50代で乳がんの手術したじゃない? 私も今度手術することになったんだけど、お母さんが生きてたらきっと遺伝だとか何だとか気にしちゃったと思うんだよね」

姉が「亡くなって良かった」と言ったのは、病気がちだった母が楽になったのではないかということと、母に余計な心配をかけずに済んで良かったという意味だったのです。
私は母の死と姉の病気のダブルパンチで、パニックになり涙が止まらなくなってしまいました。

誇り

そんな私を見て、姉は「大丈夫! まだあんたを一人にはできないからね」と一言。
母の遺影を見つめていた姉の横顔が今でも忘れられません。

その後、姉の手術は無事に成功し、今ではだいぶ元気になってきています。
自分が姉の状況だったら、絶対に取り乱してしまったでしょう。
あんなに冷静に周りのことを考えられる姉は、やっぱりすごいなぁと誇りに思います。

【体験者:50代女性・主婦、回答時期:2025年4月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:RIE.K
国文学科を卒業し、教員免許を取得後はOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。介護士として働く。さらにシングルマザーとして子供を養うために、ファーストフード店・ショットバー・弁当屋・レストラン・塾講師・コールセンターなど、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。

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