筆者の話です。
母に「あなたはセンスがない」 と言われ続けて育った私。
やっと自分のスタイルを見つけたと思った矢先、まさかの “母の犯行” が発覚して——。
画像: ご近所さん「あ、お母さんの服?」私「えっ?」私の服がいつの間にか “母の持ち物” にされていた話

母の言葉が影を落とした

昔から、母には「あなたはセンスがない」と言われ続けてきました。
おしゃれに憧れはあったものの、買い物のたびに「また変なの買うの?」と呆れられるのが怖くて、服はいつも母が選んだもの。
次第に自分の好みがわからなくなり、買い物そのものが億劫になっていきました。

けれど、大人になってから一念発起。
Webのファッションサイトや雑誌を見て、少しずつ自分の好きな色や形がわかってきて、服を選ぶことが楽しくなっていったのです。
最初は勇気がいりましたが、だんだんと「これは私らしい」と思える一枚が選べるようになりました。

お気に入りのシャツを着た日のこと

ある春の日、思い切って買ったお気に入りのシャツを初めて着て出かけました。
明るい色合いと、ほどよい丈感がお気に入り。
一目ぼれして買ったシャツで、シーズンが来るのを楽しみにしていた一枚です。

足取りも軽く歩いていると、道ですれ違ったご近所さんが、にこやかに声をかけてきました。

「おはよう、あ、それお母さんのシャツでしょ? かわいいよね」

……え? なんで母のシャツって思われたの?
とっさに笑顔で挨拶を返しましたが、頭の中は疑問符でいっぱいに。

信じられない “真相”

夜、帰宅し、母にその話をすると

「ああ、この前それ着て、友だちと買い物に行ったの。かわいいって褒められたわ」
と、まさかの自白。

「ちゃんと洗濯もアイロンもして戻したのよ。だから気づかなかったでしょ?」
と悪びれず、むしろ誇らしげな様子です。

実は我が家の間取り上、ベランダに出るには私の部屋を通る必要があり、風を通そうとクローゼットを開けていたときに見つけたのだそう。
「ちょっと着てみたくなった」 と、さらりと言われてしまいました。

黙って借りるクセ、バレたら堂々と

私のセンスを「ダサい」と言っていた母が、今ではクローゼットの前で立ち止まり
「今日はこれにしようかな」と独り言を言いながら、服を物色。

一度バレてしまえばこっちのもの、とでも思っているのか、私の目の前で試着を始め
「借りていくね~」とご機嫌で出かけていきます。

いつのまにか “私の服” が、母の持ち物のように扱われる日々。
多少「私のセンスを否定していたのに」と思うところはありますが、そんな母の調子のよさに、怒るよりも笑ってしまうのです。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年4月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。

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