薬局で薬剤師の方に相談した経験、皆さんにもあるのではないでしょうか? でも当然ですが薬剤師にもできることとできないことがあるんです。今回は知人の薬剤師に、患者の言動で困ってしまったエピソードをお伺いしました。
画像: 「それは医師の仕事です(涙)」薬剤師が思わず頭を抱えた、患者さんの『困った言動』

薬剤師の日常

私は薬剤師として、市販薬も扱う薬局で働いています。
風邪薬や胃腸薬を求める人、薬の飲み合わせを確認する人など、毎日様々な人がいらっしゃいます。
症状を丁寧に伺い、適切な市販薬をご案内したり、場合によっては病院での受診をお勧めしたりと、日々気を配りながら業務にあたっています。

ある女性の訴え

そんなある日、薬局を訪れた1人の女性が私に話しかけてきました。
「すみません、最近、めまいと吐き気がひどくて……」私は症状を聞きながら、考えられる原因や市販薬の選択肢を説明しようとしました。

しかし、女性は私の言葉を遮り、「でも、もしかしたら脳腫瘍かもしれないんです! インターネットで調べたら、同じような症状が出てたから」とまくし立て始めました。

病院受診をお勧めするも……

私は「深刻な病気の可能性も否定できませんので、不安な症状があればまずは病院で診察を受けることをお勧めします」と丁寧に伝えましたが、女性は納得しません。

忙しいのか、「でも病院に行く時間がないんです。何か良い薬はありませんか? 市販薬じゃなくてもいいので処方してください!」と私に詰め寄ってきました。

私は医療用の医薬品は医師の診断なしに処方できないことを説明し、改めて病院受診を勧めました。

薬剤師の限界と責任

しかし、女性は納得せず……。
「薬剤師は症状から薬を選ぶのが仕事でしょ? せっかく相談しに来たのに!」と怒って帰ってしまいました。

私はため息をつきました。薬剤師は薬の専門家ではありますが、医師ではありません。
診断行為も、医療用医薬品を勝手に処方することもできません。女性の不安な気持ちは理解できますが、専門外の領域に踏み込んではいけないのです。

どんな職業にも、それぞれ大変なことはありますよね。それでも自分の出来る範囲で最善を尽くすしかない、と、改めて思った出来事でした。

【体験者:30代・女性薬剤師、回答時期:2025年1月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。

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