かわいい我が子には、幸せな人生を歩ませたい。そんな思いから、人生を左右する出来事に親が介入する家庭も少なくありません。でも「子どものため」という発想が、子どもの人生を歪めてしまうことも……。今回は、筆者の知人から聞いたエピソードをご紹介します。
画像: 「子どもの将来は親次第」そう思って子育てしたけれど、、、30年後に訪れた『60代母の後悔』とは

おとなしい娘の将来が心配

A子の一人娘のB美はおとなしい性格で、自己主張ができないタイプ。A子と夫は、そんな娘の将来が心配でした。

「子どもは育て方で人生が変わる。娘は、私たち親がしっかりと導いてあげないと」

そう考えたA子と夫は、B美に進路のアドバイスをし、就職の世話もしてあげました。

「B美にはこの学校が合っているよ」「就職先はお父さんの知り合いに頼んでおいたから」

B美はそんな両親に反抗することなく、「わかった」「そうする」と素直に受け入れていました。

結婚もさせ、ほっと一安心

のんびりとしたB美は、恋愛にも消極的でした。

自力では結婚相手を探せないだろうと思ったA子は、知り合いに頼んで男性を紹介してもらい、お見合いをさせることに。

相手男性のC男は安定した職業で、B美と似たおとなしい性格です。両者に不満はなく、無事に結婚することになりました。

B美は結婚して数年後に出産。

孫が産まれ、A子夫婦は「娘に幸せな人生を与えられた。自分たちの子育ては間違っていなかった」と安堵していました。

ところが、ここから思わぬ誤算が始まったのです。

箱入り娘の結婚生活

B美は子どもを連れて頻繁に実家に訪れ、「子育てなんて無理」「家事が苦手だからやりたくない」と、A子たちに家事や育児を丸投げしてくるのです。

「母親になったんだから、いい加減自分でやりなさい」と注意しましたが、B美は知らん顔。
「これまで全部やってくれたのに、急にやれと言われても困る。お母さんに言われたとおりに生きてきたんだから、お母さんが私の人生の責任をとるべき」と駄々をこねたのです。

30年後に訪れた後悔

B美の態度に、A子たちは「親がレールを敷きすぎた!」と後悔しました。人生の決断を本人にさせず、親が決めてしまったことの弊害に気づいたのです。

後悔しても、時すでに遅し。自立を促しても、30年以上甘やかされてきた娘の修正は困難で、「ヤダ」「ムリ」と言うことを聞いてくれません。

娘の夫のC男から注意をしてもらおうと考えましたが、彼もB美と同様に親のレールに素直に従ってきたタイプ。「僕にはわかりません」と、頼りになりませんでした。

結局、A子夫婦は孫を見放すことができず、家事や育児をやるはめに。

現在A子は60代。孫のためにと夫婦で頑張っていますが、体力的にきつく、いつまで頑張れるか不安に感じているそうです。

【体験者:60代女性・主婦、回答時期:2024年12月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:江田愉子
団体職員を経て、ライターに転身。男性が管理職、女性多数が一般職の職場にて、女性と仕事、男女平等参画に関する様々な理想と現実に直面し、それを記事にすることを志す。以来、組織に所属する女性を中心にヒアリングを重ね、女性が生きやすい社会生活に関するコラムを執筆中。

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