結婚当初から姑と同居していたA子。世間体を気にする姑の言動に傷つき、次第に怒りを募らせていきました。そんなA子に、ある日娘がかけた一言とは? その言葉が心を大きく揺さぶることになります。筆者の知人A子が話してくれました。
画像: 「大嫌いな姑に執着していたのは、私だったんだ」娘のひと言で変わった『50代からの嫁の生き方』

姑との同居生活、そして家を出た日

20代で結婚した私は、姑と同居することになりました。

姑はとにかく世間体を気にする人。

さらにチクチクと嫌味を言ったり、私の両親を見下すような発言をしたりすることがありました。

まだ若かった私は言い返すこともできず、ただ我慢するしかなかったのです。

そんな日々を過ごすうちに、次第に精神的に追い詰められるように。

このままではダメだと感じ、夫を説得し、子供と共に家を出る決断をしました。

積もっていく怒りと忘れられない言葉

しかし、家を出てからも姑との関係は続きました。

例えば、お正月に仕事を終えて先に到着している夫と子供たちを追って急いで駆け付けた時、私に用意されていたものは佃煮と乾いたお寿司だけ。

また、私の実母が亡くなった時には「そんなに落ち込まなくてもいいじゃない。お母さん、もういい歳だったでしょ?」と、心ない言葉をかけられました。

そんな出来事が積み重なり、私の中の怒りは消えるどころか、ますます大きくなっていったのです。

姑は現在80歳を超えて昔ほどの元気はなくなりましたが、今でも許せない、忘れられない。

その思いを娘にもよく話していたのですが、娘はいつも黙って聞いてくれていました。

娘のひと言が私を変えた

ところがある日、娘がふと口にした一言が、私の心に深く突き刺さりました。

「お母さんの気持ちはわかるけど、相手はもう何とも思ってないよ。言ったことすら覚えていないかも。それなのに、お母さんがずっと怒っていたら、人生もったいないよ」

その瞬間、ハッとしました。

娘の言う通り、姑はきっと私にしたことなんて覚えていないでしょう。過去の苦しみに囚われ続けていたのは、ほかでもない私自身だったのです。

そのことに気づいた瞬間、長年抱えてきた思いが急に小さく感じられ、なんだかバカバカしくなってきました。

これからは自分のために生きる

それ以来、私は愚痴を言わなくなりました。

もちろん、姑との嫌な思い出がすべて消えたわけではありません。

でも、それに囚われるのはもうやめようと決めたのです。

「許す」とまではいかなくても、もう振り回されない。

これからは、自分の人生を大切にしたい。

娘のおかげで、私はようやく前を向くことができました。

過去に縛られるよりも、未来を楽しむほうがずっと幸せになれる。

そんなシンプルなことに、ようやく気づけたのです。

【体験者:50代・女性主婦、回答時期:2025年1月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Yumeko.N
元大学職員のコラムニスト。専業主婦として家事と子育てに奮闘。その傍ら、ママ友や同僚からの聞き取り・紹介を中心にインタビューを行う。特に子育てに関する記事、教育機関での経験を通じた子供の成長に関わる親子・家庭環境のテーマを得意とし、同ジャンルのフィールドワークを通じて記事を執筆。

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