体育会系の部活動では、レギュラー選手になった子どもたちの活躍ばかりに注目しがちです。
華やかなレギュラー選手の陰で、ひっそりとチームメイトを支えていた補欠にもなれなかった翔太くん(仮名)。
これは筆者知人の沙織さん(仮名)から聞いた息子の翔太くんの部活動の引退試合の話です。
画像: 部活でレギュラーに落ち、補欠にもなれなかった息子。最後の試合の日、親子で涙が止まらなかったワケ

ネイマール選手みたいになりたい!

息子の翔太は世界的に大活躍していたサッカーのネイマール選手をテレビで見て、サッカーに興味を持ちました。

巧みにサッカーボールを操るネイマール選手。
彼の大ファンになった息子が「僕もネイマール選手みたいになりたい」と言い、サッカークラブに入ったのが小学校1年生の時。

それからずっとサッカーを続けてきました。

こっそり悔し泣きする翔太

翔太は中学生になった時自分が通う中学校のサッカー部に入部しました。

翔太は小さい頃から食が細く小柄で、そのうえ運動神経も良いほうではありません。キツイ練習に何度もくじけそうになりながらも、部活動を続けていました。

学年が上がり上級生になっても芽がでない翔太は、実力がある下級生にどんどん追い抜かれていきます。

部活から帰宅して、部屋でこっそり悔し泣きしていたことが何度もありました。

私は毎回試合を見に行きましたが、一度もピッチに立たず仲間の応援をしているだけの翔太の姿を見るのは切ないものがありました。

レギュラー選手のお母さんの言葉に涙

翔太は中学3年生になっても選手はおろかベンチにすら入れませんでした。

この地区の中学3年生は、地区予選の敗退が部活の引退になります。

最後の試合もベンチ入りすることができず、下級生と一緒にピッチの外側から仲間の応援をしていた翔太。

この試合は点の取り合いを繰り返し、試合終了間際に相手のチームに得点を決められて負けるという、とても悔しい終わり方をしました。

呆然とピッチを眺めていた私に、レギュラー選手のお母さんがこのように声をかけてくれました。

「ベンチに入れなくても頑張って一緒に練習してくれた翔太くんがいたから、レギュラーの選手がピッチに立てるんだよ。息子は家でいつもそう言っていたよ。本当にありがとうね」

仲間想いの息子に感動

翔太は選手としては活躍できませんでした。

でも大好きな仲間たちが活躍することを望み、一緒に辛い練習に耐えて頑張っていたのです。

ベンチにも入れなかった翔太の頑張りは無駄ではなく、仲間の力になっていたことを知り、私は涙が止まりませんでした。

そしてチームメイトの中で一番悔しそうに泣いていたのも翔太でした。

高校では「仲間を支えることに専念したい」と、サッカー部のマネージャーになった翔太の今後の成長が楽しみです。

【体験者:40代・パート、回答時期:2024年12月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

Itnライター:K.Sakura
セラピスト・販売員・介護士の職を通じて常に人と関わる職務経験から得た情報を記事化するブロガーを志す。15年ほど専業主婦兼ブロガーとして活動するも、モラハラな夫からから逃げるために50代にして独立。母としては、発達障害のある子どもの育児に奮闘。自分の経験が同じような状況に悩む人の励みになって欲しいと思い、専門ライターに転身。アラフィフでも人生やり直しができることを実感。

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