友人Sの話です。
市内の人気ホテルで結婚式を行いました。予約が一年前には埋まるこの会場では、一日に複数の披露宴が行われます。
今回は思わぬ再会で緊張感をはらんだ結婚式となったエピソードをご紹介します。

夫が目にしたまさかの名前

夫はその場で小さく息をのみ、「まさかこんな偶然があるなんて」 と呟きました。
元カノとは円満に別れたものの、結婚の事実を知ったことで妙な感情が湧き上がったようです。
(誰にも何も聞いてないけど?) と動揺。

夫は気持ちを切り替える余裕もなく、控室や共有スペースを移動するたびに必要以上に気を遣う羽目に。
「万が一、鉢合わせたらどうしよう」
と思うだけで緊張が高まり、挙動不審になりかけたと言います。

気まずさ漂う控室

そんな夫の様子を見ていたSも内心は落ち着かず、
「縁を感じるどころか、偶然が怖い」
と心がざわつきました。

同じ階で披露宴が進行中だと思うと、その空気感がさらに張り詰めて感じられたのです。
結局、お互い顔を合わせずに、午前中からの式は終了。

自分たちの準備や来賓への挨拶に忙殺され、そのまま挙式、披露宴は無事に進行。
気が付けば隣室から人の気配は消えていました。
豪華な料理や祝福の言葉が会場を彩り、出席者全員が和やかに笑顔を交わす一日となりました。

緊張感の中で迎えた特別な一日

ですが、S夫婦にとってはまったく別の意味で忘れられない結婚式となりました。
披露宴が終わり会場を後にしたとき、Sは思わず夫に「こんな偶然があるのかしらね」 と苦笑い。
それに対し夫も、「もう二度とこんな緊張感のある結婚式はごめんだな」 と心から安堵したそうです。

緊張感の中にも思い出深さを残したこの一日。
偶然が重なった奇妙な縁は、夫婦の間に少しだけ新しい絆をもたらしたのかもしれません。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2024年12月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。

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