不妊治療はなかなか実らず、長きにわたることもあります。そんな治療中に友人の妊娠の話を聞くと、お祝いしたい気持ちと羨ましい気持ちで、複雑な思いをする人も多いでしょう。今回はつらい不妊治療中に友人から無神経なセリフを浴びせられた経験のある筆者の知人、Eさんのお話です。
画像: 「子どもなんかいらなかったんだけど」不妊治療中に聞きたくなかった、友人の無神経な発言

長い不妊治療

Eさんは20代前半で結婚しましたが、なかなか子どもを授からず、不妊治療を始めて5年以上が経っていました。

不妊治療には痛みを伴う治療も多く、Eさんの体力も気力も限界に近づいています。高額な費用もかかるため、夫婦2人で必死に働いて捻出していました。

「そろそろ諦めた方がいいのかな…… 」
「あと1年だけ頑張ろうか」
Eさん夫婦は強く子どもを望んでいたので、なんとかあと1年頑張ろうとお互い励まし合いました。

そんなある日、学生時代の友人がEさんを訪ねてきました。結婚するというので、結婚式の招待状を持ってきてくれたのです。

友人の無神経発言

「不妊治療どう?」
友人は招待状をEさんに渡して尋ねました。
「あと1年頑張ろうかなって。そんなことより、結婚おめでとう! 式は来月なの? ずいぶん急なんだね」
Eさんの言葉に、友人は笑って答えました。
「実は私、妊娠したんだよね。だからお腹が目立たないうちにって」
「そ、そうなんだ……」
友人はお腹を撫でながら言いました。
「私は産みたくないって言ったんだけど、彼にどうしても産んでって言われたから。でも皮肉よね、欲しい人のとこにはできなくて、私みたいに子どもなんかいらない人にできるって」

自分が不妊治療をしていることを知っているのに、友人の発言は無神経すぎると思いました。しかし妊婦さんである友人の身体を気遣い、何も言い返しませんでした。

「本当におめでとう、元気な子を産んでね」
そしてEさんは結婚式に欠席するという返事を送り、その友人とは距離を置いているそうです。

子どもを望んでいる人に対して、あまりにも無神経な発言でしたね。相手の状況や気持ちを考えると、そんなことはとても言えないはずです。自分の心を守るために、その友人とは距離を置いて正解だったのではないでしょうか。

【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2024年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。


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