家族のために、生命保険に加入している方も多いのではないでしょうか。生命保険は「もしも」のときのお金ですが、まとまったお金に目がくらむ人もいるようです。今回は、弟から保険金をたかられた知人のエピソードをご紹介します。

味方が誰もいないことに絶望

面倒なことはさらに続きました。
A子が断ったあと、弟の妻も連絡してきてお金を貸して欲しいとお願いしてきたのです。
弟の妻は「甥っ子や姪っ子がかわいくないの? ちゃんと返すって言っているじゃない」とA子に文句を言い、それでも断られると「本当にケチね!」と、弱っているA子を責めてきたのです。

A子は、弟夫婦の「ちゃんと返す」という言葉を信じていませんでした。
いつどうやって返済するのか、返済計画を尋ねると、2人とも「そのうち」「毎月少しずつ」とあやふやなことしか言いません。
「月々の返済金額は?」「担保は?」と尋ねてもきちんと回答せず、「家族なんだから、そんなに詳しく決めなくても……」と逃げようとするのです。

2人に返済する気がないと判断したA子は、「絶対に貸さないから、もう諦めて」と告げました。
弟夫婦は「姉弟なのに冷たい」「ちょっとだけでも」としつこくねだってきましたが、断固拒否。
A子は頷きませんでした。

何度断っても聞き入れてくれない弟夫婦に、疲れ果ててしまったA子。
親から2人に注意してもらおうと、連絡をしました。
ところが両親は「どうせすぐに使わないお金なんでしょ? それなら貸してあげたら? 子どももいて大変なのよ」と、弟夫婦の味方になってお金を貸すように言ってきたのです。

もともと末っ子の弟をかわいがっていたけれど、孫ができたことからさらに甘くなってしまった両親。
夫を亡くして落ち込んでいる娘に対して、実の親がこの仕打ちとは。
自分には味方が誰もいないんだ、と気づいたA子は絶望してしまいました。

ひっそりと家族と絶縁

『辛いときに味方になってくれない家族なんていらない』と思ったA子は、家族と絶縁することにしました。
引っ越し先の住所を教えず、連絡がきても全て無視。
絶縁宣言をすると面倒なことになりそうだったので、ひっそりと距離を置くことにしたのです。

『自分には味方が誰もいない』と思っていたA子ですが、亡くなった夫の家族だけは味方になってくれました。
突然家族を失った哀しみを抱えたもの同士、理解しあえることが多くあったのです。
夫の家族は落ち込むA子を気遣ってくれ、彼女は次第に立ち直ることができたそうです。

血のつながりのない義家族のほうが支えになるとは、皮肉なもの。
子どもや孫を思う気持ちはわかりますが、夫を喪った悲しみも理解してほしかったですよね。A子は、「実家のことを一生許せそうにない」と言っていました。

【体験者:30代女性・会社員、回答時期:2023年1月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:江田愉子
団体職員を経て、ライターに転身。男性が管理職、女性多数が一般職の職場にて、女性と仕事、男女平等参画に関する様々な理想と現実に直面し、それを記事にすることを志す。以来、組織に所属する女性を中心にヒアリングを重ね、女性が生きやすい社会生活に関するコラムを執筆中。

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