抗がん剤の治療は、多くの場合脱毛の副作用があります。筆者も乳がんの治療時に受けた抗がん剤の副作用で、驚くほどの脱毛を経験しました。これは、脱毛後に久しぶりに訪れた美容室でのエピソードです。

提案

その男性は私の顔をきちんと見て「失礼な対応をして本当に申し訳ありません。私が代わりに謝罪します。」と頭を下げてくれました。
「教育がなってなくて大変失礼しました。私が対応させていただきますが、よろしいですか?」と言うので、私は事情を説明。

その男性はしっかりと話を聞いてくれて、「実は、私の妻もお客様と同じ悩みを持っているんです。私がカットをしているんですが、気に入ってくれてますので、試していただけますか?」と提案してくれました。
私が「お願いします。」と言うと、その男性は「抗がん剤の後は、頭皮も敏感になっているんですよね。だからカラーやパーマはやめておきましょう。」と私の状況を理解して、丁寧にカットをしてくれたのです。

笑顔

出来上がったヘアスタイルは、ちょっとおしゃれなベリーショート!
「ワックスやムースも頭皮や髪の負担になるので、洗いっぱなしでも大丈夫なスタイルにしました。」と言ってくれました。
支払いのためにレジへ向かうと「大変な失礼がありましたので、お代は結構です。その代わりと言っては何ですが、これからもうちの店にカットをしに来ていただけますか?」とニッコリ。

私は最初の美容師の言葉にひどく傷ついていましたが、この男性の応対でとても穏やかな気持ちになることができたのです。

気遣い

名刺をくれたので見てみると、その男性は美容室のオーナーでした。
「ありがとうございます。ぜひ、これからもよろしくお願いします。」と言うと「体調の良いときで構いません。いつでもお待ちしています。」と言ってくれました。

がんの治療後の副作用に悩まされ続けている私は、このオーナーさんの一言で一つ悩みが解消し、とても嬉しかったです。
あんな素敵な気遣いができる美容師さんなら、これからもお世話になろうと思っています。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2024年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:RIE.K
国文学科を卒業し、教員免許を取得後はOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。介護士として働く。さらにシングルマザーとして子供を養うために、ファーストフード店・ショットバー・弁当屋・レストラン・塾講師・コールセンターなど、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。

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