だれでもいつしか、歳をとっていくもの。
そんな時に、誰かの手を借りて生活することもあるでしょう。
親しい身内であったり、頼れるヘルパーさんであったり、はたまた施設入居など、方法は様々です。
今回は筆者の知人A男さんが体験した、父親の介護のお話をご紹介します。
画像: 【介護の実話】入院後、弱っていく父に「俺は何が出来るだろう?」息子が起こした『小さな奇跡』

父の介護のため実家へ

A男さんは元々一人暮らしをしていましたが、父が病気で要介護となったのがキッカケとなり、実家へ戻ることになりました。
それからは母と力を合わせて、父の介護に奮闘する日々が始まったのです。

会社は在宅ワークに切り替え、仕事をしながら父の介護をするのは大変でした。
どんどん弱っていく父を見るのは辛いものがありましたが、『どうにか家で過ごしたい』という父の願いをかなえるべく、母と一緒に一生懸命介護したのです。

父の好きなものってなんだっけ?

ところが、結局父は入院することになってしまいました。
ほぼ寝たきりとなり、ほとんど喋らず悲しげに窓の外ばかり見ている父を見て、胸が痛みました。

そんな時、ふと父の好きなものを思い返してみたのです。
父は動物が大好きで、特に鳥が好きでたまらなかったようでした。

そうしてA男さんは、とある案を思いついたのです。それは……!

喜んでくれた父。本当に奇跡の瞬間だった。

病院に相談して、一日外泊許可を得ることが出来たのです。
そしてA男さんは母も連れて、家族で沢山の鳥がいる動物園に行くことにしました。

車いすに乗った父が餌を持っていると、沢山の鳥が寄ってきました。
父の目はみるみる輝きだし、小さいかすれ声で、

「可愛いなぁ」

そう呟いた父の顔は本当に穏やかで、優しい微笑みでした。
今までほとんど話せなかったのに、本当に奇跡のような瞬間だったのです。

結局それから数週間で父は亡くなりましたが、あの時動物園に連れて行けて本当に良かったと思っています。
どうか天国では沢山の鳥に囲まれて、穏やかに過ごせますように。

まとめ

アニマルセラピーという言葉があるくらい、動物には不思議な力があるものです。
きっとお父様は、本当に嬉しく感じられたのではないでしょうか?
お父様のご冥福をお祈りいたします。

【体験者:50代・会社員、回答時期:2020年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Yuki.K
飲み歩きが趣味の元キャバ嬢。そのキャリアで培った人間観察力でコラムを執筆中。すっと人の懐に入ることができる天然人たらしが武器。そのせいか、人から重い話を打ち明けられやすい。キャバクラ勤務後は、医療従事者として活躍していたが出産を機に退職。現在はこれまでの経験で得た人間関係を取材に生かし、主に女性の人生の機微を記事にするママライター。


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