どんな職業に就いているかで人をバカにする人は少なくありません。見た目や学歴と同じく、どんな職業かというだけで、その人がどんな人間であるかを決めつけることはできませんよね。今回は職業がきっかけでママ友にバカにされた経験のある筆者の知人、Yさんから聞いたお話です。

掃除をしていたビルは……

ある日、Yさんは授業参観のために娘の通っている小学校へ。
「Yさん、今日はお仕事お休み?」
「うん、参観日だから休みにしたのよ」
教室の後ろでママ友と話していると、例のセレブママも全身ブランド物の服を着て入ってきました。
「こんにちは」
Yさんはあまり関わりたくないと思い、そっとセレブママから距離をとれるよう奥へ移動しました。
「あ、ごめんなさい」
移動する途中に誰かの父親らしいひとりの男性に肩がぶつかり、Yさんは小声で謝りました。
「あ、Yオーナーじゃないですか! お子さんもこのクラスなんですか?」
「あら、美容院の〇〇さん!」
「いつもお世話になってます」
近くで聞いていたママ友のひとりが、そのやりとりを聞いて首をかしげました。
「オーナーって、なんの?」
「ああ、駅前のビルなの」
「えー! あのテナントがいっぱい入ってるビル!?」
実はYさんがいつも掃除をしているビルは、亡くなった旦那さんが遺してくれたYさんの持ち物。清掃業者を雇う経費を少しでも削減するために、Yさんができるところは自分で清掃をしています。

そしてぶつかった男性は、その中に入っているテナントの美容院の店長さんだったのです。

Yさんはそのことを誰にも話していなかったため、授業そっちのけでママ友たちがざわつきました。
「Yさんったら、実はすっごいお金持ちだったのね……!」
当然ながらセレブママの耳にも入り、それからというものYさんと仲良くしようとすりよってくるようになったそうです。
ビル清掃の仕事が大変なので心配してくれていたのかもしれませんが、本当の職業が分かった途端手の平返しをする人は信用できませんよね。その後も、Yさんがセレブママを相手にすることはなかったそうですよ。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子


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