親と離れて暮らしていると、つい連絡がおろそかになってしまうこともありますよね。めったに連絡をよこさない子どもから珍しく連絡が来れば、たとえそれがどんな内容でも力になろうとするのが親心というもの。今回はそんな親心が原因で、思わぬトラブルに巻き込まれそうだったのを寸前で救った経験のある私の知人、Oさんのお話です。

母が驚いた理由

Oさんの姿を確認した母親は、真っ青な顔でその場に座り込んでしまいました。
「え、なに? そんなに驚かなくても」
母親はくちをぱくぱくと動かして、受話器を指さします。
「誰と電話してたの?」
Oさんは不審に思い、受話器を取り上げて耳に当てました。

「ねえお母さんどうしたの? なんかあった?」
受話器の向こうからは、若い女性の声がします。

「なんであんたがここにいるの……!?」
パニック状態になった母親の様子から、Oさんは状況を理解しました。
「ちょっと、あんた誰?」
受話器の向こうにそう呼び掛けると、若い女性はこう答えます。
「何言ってるのお母さん、私よ。Oだよ!」
「残念でした、Oは私だよ!」
Oさんがそう言うと、プツっと電話は切られてしまいました。

「完全にオレオレ詐欺じゃん! 」
そう、母親はオレオレ詐欺の電話を、Oさん本人であると思い込んでいたのです。
「急にあんたが事故を起こしたって電話してきたから…… 」
少し落ち着いた様子の母親は、ほっとしたように大きく息をつきました。

詳しく聞いてみると電話の相手は、Oさんが重大な事故を起こしたので示談金を振り込んでほしいと言ってきたとのこと。

久しぶりにOさんから電話がかかってきたため、母親はすっかり信じ込んでしまい、Oさんが現れないと危うくお金を振り込んでしまうところだったそうです。

間一髪でお母さんを詐欺から救えてよかったですね。お母さんには娘が急に帰ってきたのに加え、詐欺から救われたという2重のサプライズになってしまったことでしょう。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子

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