最近は何か事件があると、すぐスマホで撮影した動画がSNSなどにアップされますよね。現場の生々しい状況を伝えられるため、ニュース番組でも使われることがありますが、時にはそれが裏目に出ることもあります。今回はスマホの動画撮影で驚くべき体験をした私の知人Mさんから話を聞きました。

なんとか助かったものの……

「こんな時にのんびり撮影してんじゃねえ!」
ふいに男性の大声が響き、ひとりの中年男性が車掌室に向かって走り出しました。

その男性のおかげで電車は一番近くの駅に停車することになり、急病人の男性は救急車で搬送されました。

後日Mさんのもとに駅員さんから連絡があり、急病人の男性はMさんの適切な処置のおかげで一命をとりとめたとのことです。

Mさんはそれを聞いて安心しましたが、ふと気になってSNSでその日の動画がアップされていないか検索してみました。

「ああ、やっぱり……」
Mさんや男性の顔こそ映っていないものの、倒れた男性を介抱し、Mさんが若者を怒鳴りつけているところを映された動画が拡散されていました。

せめてもの救いは、その動画をアップした人へのコメントが「撮ってないで助けろ」「早く車掌呼べよ」という意見で大炎上していたことです。

Mさんはそのアカウントの主に動画を削除して欲しいことと、非常事態にはスマホで撮影するより力を貸して欲しいということを綴ったDMを送りました。

そして数日後にそのアカウントを確認しようとしたところ、アカウントごと削除されていたそうです。

何か理由があったのかもしれませんが、人の命より大切な動画などありません。非常事態に居合わせたら、撮影よりもまず協力するのが当然ですよね。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子

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