職場やママ友などのコミュニティで、マナーにうるさい人がいる時もありますよね。しかしそのマナーが本当に正解であるとは限りません。今回は私の知人Tさんから聞いた、トンデモマナーを押し付けてくる人のお話です。
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高級料理店で食事

当時Tさんは金融系の会社に入社したばかりでした。

営業事務で採用されたTさんの直属の上司は、ちょっと口うるさい先輩女性。

先輩女性は特に礼儀やマナーに厳しい人だったので、Tさんは毎日「礼儀がなってない」「それはマナー違反」など、きつい物言いでビシバシしごかれていました。

そんなある日、Tさんのいる部署の部長が「忘年会をしよう」と提案。

すぐに先輩女性の指示でTさんがお店を探すことになり、会社の周りでも有名な高級中華のお店で、部署の忘年会をすることになりました。

先輩女性の取り分けマナー

「わあ、すごく豪華!」
忘年会当日、お店のテーブルには豪華な大皿料理が並んでいました。

「Tさん、取り分けてちょうだい」
先輩女性に言われて、Tさんは慌てて取り分け用の箸を探しました。

「どうしたの? 早く取り分けてよ」
「取り箸がないので、お店の人にもらいますね!」
「はあ? 何言ってるのよ」
先輩女性はフンっと鼻をならし、自分の箸をTさんに見せました。

「見てなさい、こうやって取り分けるのがマナーなの」
先輩女性は得意げに箸の持つところを下にする、いわゆる逆さ箸にしていきなり料理に箸を突っ込んだのです。

部長のお叱り

「ちょ、ちょっと!」
そのまま料理を取り分けようとする先輩女性を、部長が慌てて止めました。

「君、それはマナー違反だよ」
逆さ箸は手で持ったところが料理に触れ、不衛生であるためマナー違反だと部長が言いました。

「すみません、知らなくて……」
先輩女性は顔を真っ赤にして箸を引っ込めました。
「汚れたお箸、取り替えてもらいますね。ついでに取り箸ももらってきます」
Tさんは急いでお店の人に箸をもらい、料理を取り分けました。

マナーに詳しい先輩女性のうっかりミスでしたが、全てのマナーを覚えることはなかなか難しいですよね。部長の温かいフォローもあり、その後の忘年会は、みんなで楽しく過ごせたそうです。

マナーを守ることはもちろん大切なことですが、できていないからと言って怒鳴ってしまうのではなく、楽しいひと時になるようフォローしてくれた部長に、Tさんはさすがだなと思いました。

その一件で何か思うところがあったのか、それ以降、先輩女性からTさんへの指導は穏やかになったそうです。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子

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