小さい子どもを連れて買い物に行くと、子どもが商品にいたずらをしてしまったという経験のある人もいるのではないでしょうか。その後どういう対応をするかで、親の責任が問われることもあります。今回は、いたずらされるお店側の経験をした私の知人Mさんのお話です。

子どものイタズラ

「ちょっと、何やってるんですか!」
Mさんが厨房に入ってまもなく、店長の声が響きました。Mさんは何事かと売り場をのぞき込みます。

「ちょっとくらいいいじゃない、子どものしたことなんだからうるさく言わないでよ」
店長に怒鳴られて、Yさんはふてくされている様子。

「やっていいことと悪いことがあるでしょう!? こんなにたくさんパンに穴をあけて……」
店長がYさんの子どもの腕を掴んで言いました。

よく見ると、先ほどMさんがキレイにトレーに並べたクリームパンやカレーパンの陳列が乱れ、何個かは破れて中身がこぼれています。どうやら退屈になったYさんの子が、売り物のパンに次々と指を突っ込み、Yさんはそれを注意せずにいたようでした。

「そんな…… 」
Mさんが売り場に出ていくと、Yさんはそれを見て嬉しそうにこう言いました。
「良かった、Mさん! このパンもう売り物にならないでしょ? 友達のよしみで全部タダで引き取ってあげる!」
「……はあ? 」
Mさんにはその言葉が理解できませんでした。自分の子どもがダメにしたパンを、タダでひきとってあげるなんて、斜め上の要求に卒倒しそうでした。パンに指を突っ込む子どもを止めなかったのは、これが目当てだったのでしょう。

「友達とか関係ありません。この商品は全て売り物にならなくなってしまいましたので、全てお客様に買い取っていただきます」
店長がクールに言い放ち、Yさんの子が指を突っ込んだパンを回収して袋に詰め始めました。

「子どものやったことなのよ? 大目に見てよ!」
「お子さまのイタズラは親御さんが責任を取ってください。あと、もう二度とご来店いただかなくて結構ですから」
ぴしゃりと言われ、Yさんはしぶしぶパンの代金を支払いました。

幼稚園も卒園間近だったため、その後MさんがYさんと顔を合わせることはほぼありませんでしたが、風の噂でYさんが色々な店を出禁になり、いたたまれずに引っ越したと聞きました。

子どものしたことの責任をとるならまだしも、子どものイタズラをきっかけに人にものをたかるのは親としてあり得ない行動ですね。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子


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