比較的リーズナブルで快適に旅行を楽しめるのがバス旅行の良いところ。運転もしなくて良いですし、普段は食べられないようなグルメやお酒も楽しめますよね。
今回は義両親との楽しいバス旅行で、意外なトラブルに巻き込まれてしまった私の知人、Oさんに聞いたお話です。

サービスエリアで消えた義母

「着いた! ちょっと行ってくるわね」
バスがサービスエリアに停まると、義母は我先にとトイレへ駆け出していきましたが、Oさんと旦那さん、義父はそのまま座席でくつろいでいました。

「お義母さん遅くない?」
「ああ、トイレ混んでるのかな」
トイレに行ったまま、なかなか義母が戻ってこないのでOさんは心配になってしまいました。
「私、ちょっと見に行って来ようか」
「入れ違いになったら大変だから、待っていた方がいい」
旦那さんにそう言われたものの、バスが出発する時間が近くなってもなかなか義母は戻ってきません。
「おかしいな……」
その時、ちょうど隣りに停まっていたバスが動き出してOさんはふと目をやりました。

「あ!!!」
動き出したバスからこちらを見ている人とバッチリ目が合い、Oさんは声を上げました。その人物こそ、帰ってこない義母だったからです。

「お義母さん違うバスに乗ってる!」
窓の向こうで義母も慌てた様子で窓を叩いていますが、バスはどんどん動き出してしまいます。
「ど、どうしよう」

危機一髪!

とりあえずバスを降り、Oさんは義母の乗ったバスを追いかけました。するとOさんと一緒にバスを追いかけている女性がいるのに気づきました。

「ま、まってー!!」
どうやら義母が間違えてバスに乗ったせいで、代わりに置いて行かれた人のようでした。

すると間もなくバスは停車し、中から義母が飛び出してきました。
「お義母さん!」
「運転手の方にお願いして停めて貰ったわ……」
「と、とりあえずバスに戻りましょう」
バスに乗り遅れた女性も、無事にバスに戻れたようでした。両方の運転手や乗客の方々にも謝罪したところ、皆さん怒鳴ることもなく「見た目が似てるもんね」と許してもらえてありがたかったです。

「母さんなにやってるんだよ」
「私だってびっくりよ。違うバスに乗ってるなんて気づかなかった。Oさんと目が合った時は血の気が引いたわ」
「無事に合流できて良かったです」

この件以降、トイレ休憩に停まった際、Oさんと義母は一緒にトイレに行くことを決めたそうです。

大きなサービスエリアには沢山の観光バスが停まっていることが多いので、トイレに行く際は自分が乗るバスを確認した方が良さそうですね。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子


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