口にするものの添加物にこだわる人は少なくありません。子どもには安全なものを食べさせたいと思う気持ちもわかりますが、それを他の人に強制するのは良くありませんね。今回は私の知人Sさんから聞いた、添加物を気にするママ友トラブルのお話をご紹介します。

突然の来訪者

その時急に、玄関のベルが鳴りました。
「誰だろう?」
Sさんが玄関のドアを開けると、そこにはバスケットを持ったTさんが立っていました。
「Tさん、どうしたの? 何かお忘れ物?」
Tさんは手に持っていた大きなバスケットをSさんに差し出しました。
「これ、無添加のクッキー作ってきたの! これなら娘も食べられるし、皆さんにも無添加の良さを知って欲しくて」
「ああ、ありがとうございます……良かったら入って!」
「あらまあ、悪いわねえ。じゃあお言葉に甘えて」

Tさんは何のためらいもなくSさんの家に上がり、子どもたちが食べている料理をじろじろと見まわしました。
「ふーん、結構おいしそうね」
「良かったら食べてって、多分余りそうだし」
Sさんはそう言ったものの、添加物に厳しいTさんは口にしないだろうと思っていました。
「じゃあ、ちょっといただきます」
「え? ああ、どうぞ」
以外にもTさんは渡された皿にモリモリと料理をよそい、食べ始めました。
「子どもには添加物ダメって言ってるんだけどね。私は別に気にしてないんだ」
Tさんは自分の子が生野菜しか食べていないのも気にしない様子で食事や、傍に置いてある市販のお菓子まで口に運びます。
「ねえママ、私も食べたい」
自分の母親がバクバク料理を口にしているのを見て、Tさんの子がそう訴えました。
「あんたはダメよ。ほら、まだお野菜残ってるでしょ」
「えー」
「文句言わない! ほら、ママクッキー焼いてきたからそれ食べな」
Tさんに言われ、娘はしぶしぶTさんが焼いてきたクッキーを口に運んでいました

Tさんの焼いてきたクッキーは極限まで甘さが控えめで、非常にかたいクッキーでした。

あまり子どもが好む味には思えませんでしたが、皆が甘いケーキを食べている中、Tさんの子は半べそでそのクッキーを食べていました。

結局誕生日パーティーの終わりごろにTさんの子が大声で泣き出してしまい、Tさんが怒りながら連れて帰って終わりました。

Sさんの娘はせっかくのパーティーなのに友達が泣くことになり、しょんぼりしていたとのこと。

添加物にこだわるのは健康には良いかもしれませんが、子どもに我慢させすぎるのはどうかとSさんは思ったそうです。子どものためを思ってのことだとは思いますが、何事もやりすぎはよくないですよね。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子


コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.