スマホはとても便利なアイテムですから、常に肌身離さず持っているという人も多いのではないでしょうか。しかしあまりスマホに夢中になりすぎると、思わぬトラブルを招いてしまうことがあります。今回はスマホに夢中になりすぎたあまり、とんでもない事態を巻き起こした私のママ友Tさんのお話です。
画像: ftnews.jp
ftnews.jp

スマホに夢中のママ友

当時私はPTAの役員になっていて度々会議などで小学校に出向いていたのですが、同じように集まったママたちの中に、常にスマホから目を離さないスマホ中毒のママ友がいました。

Tさんといって、彼女も役員であるにもかかわらず、会議中に人の話を聞かずにスマホばかり見ていました。
「ねえTさん、聞いてる?」
誰かがそう尋ねても、「うーん」と生返事。そして会議が終わった後、Tさんは同じ係のママ友に「で、結局どうなったの? 話長すぎてスマホ見てたわ」と悪びれずに言う始末。

Tさんが一体スマホで何を見ているのかと後ろからのぞき込んだママが言うには、SNSやネットニュースばかり。何か重大な用事があってスマホを見ているのではなく、ただ漫然と眺めているだけのようでした。

また、子どもの行事に出席しているときも常にスマホ。自分の子どもが何をしていようと、チラッと見るだけですぐにスマホに目を移してしまいます。

周囲の皆もTさんのスマホ中毒にあきれ返ってしまい、一年の半ばを過ぎるころには誰も注意しなくなっていました。

危険なスマホ自転車

「最近、私専用の自転車買ったのよ」
ある日の集まりで、Tさんは言いました。今までも歩きスマホで小学校に来ていてとても危なかったので、自転車ならスマホを見ずに運転してくれると思い、皆ホッとしていました。

しかしTさんは皆の気持ちを知ってか知らずか、堂々とスマホを見ながら自転車を漕いで小学校に現れるようになったのです。
「ちょっとTさん、危ないからスマホやめなよ」
「えー? 大丈夫だって! 今まで誰にもぶつかったことないし」

さすがにスマホを見ながらの運転は誰もが注意をしましたが、Tさんは全く聞く耳を持ちません。それどころか、「今日おばあさん轢きかけて危なかったわー、チンタラ歩いてるのって本当迷惑」などと、自分の交通ルール違反を棚に上げてお年寄りを批判することも。

「Tさん、あのままじゃ本当に事故起こしちゃうんじゃない? 」
心配したママ友たちは、Tさんがスマホを見ながら自転車に乗っているのを見る度にハラハラとした気持ちになっていました。

最悪の事態

ある日、ちょうど子どもの下校時刻と重なる時間にPTAの集まりが終わり、下校する子どもたちと一緒にママたちも校門から出ようとしていた時でした。

「キャーッ!!!」
女性の叫び声と自転車のブレーキ音が鳴り響き、私は慌てて声のした方に向かいました。するとそこには倒れた自転車と、地面に座り込んだ子ども、そして不機嫌そうに地面からスマホを拾い上げるTさんがいました。

「Tさん、どうしたの? 」
「あー、ちょっとこの子にぶつかっちゃって。でも大丈夫だよね?」
地面に座り込んだ子どもの膝がすりむけて、少し血がにじんでいます。
「またスマホ見ながら自転車乗ってたの!? 信じられない! ねえ、大丈夫? 立てる?」
私や他のママ友たちは怪我をした子どもを保健室に連れて行こうとしました。

「私急いでるからさ、その子よろしくね」
Tさんは信じられないことに、ひらりと自転車に乗り込みました。もちろん手にはスマホを持って。
「ちょっと待って! Tさんてば!」
Tさんはそのままペダルを踏みこみ、校門から出て歩道を走っていきます。

スマホ破壊、そして……

「待てコラァァァァァ!」
走り去ろうとするTさんを、大きな声を出して走って追いかける女性が1人。それは後で聞いたところによると、Tさんの自転車にぶつかって怪我をした子どもの母親だそうでした。

間もなくガシャンと何かが倒れる音がして恐る恐る見に行くと、歩道にTさんが自転車に乗ったまま倒れていました。
「ちょっと、この人何なの? いきなり蹴飛ばされたんだけど……って、私のスマホ!」
倒れた拍子にTさんの手から離れたスマホは車道へ飛ばされ、Tさんの目の前でトラックに轢かれてしまいました。

「ああ……ちょっと、どうしてくれんのよ! 私のスマホ返して!」
立ち上がって抗議するTさんに、追いかけた女性は言いました。

「スマホどころじゃねえだろ! こっちはあんたの自転車に子ども轢かれてんだよ!」
「大した怪我でもないのになんなのよ!? そんなことよりスマホ弁償してよ!」
2人が掴み合いのケンカになりそうになったところで、近くにいた若い男の先生が止めに入ってくれました。

その後両家が集まって話し合いの場が持たれたそうです。Tさんはスマホを弁償してもらうどころか旦那さんにきつく叱られ、それ以降はインターネットの使えないキッズケータイしか持つことを許されなくなってしまいました。

また、Tさんと接触した子どもの怪我は擦り傷だけで、大したことがなかったのが救いです。

いくらスマホが便利だから、面白いからといっても、TPOやルールを守って使わなければただの非常識な人間になってしますね。周りの迷惑になることのないよう、ほどほどに利用しましょう。

ltnライター:緑子


コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.