コロナウイルスの感染拡大で世の中が一変する前のできごと。作者の知人がスーパーの惣菜コーナーでアルバイトをしていたときに、ある女性が試食コーナー目当てにぐるぐるとスーパー内を徘徊していました。その女性は出していたコロッケなどの試食を食べ尽くしてしまうのだとか。流石に惣菜チーフも考えたようで……。
画像: ftnews.jp
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事件はスーパー内で

最初はみんなその女性のことを「お客さん」だと思って接していました。ですが、その女性の行動に幻滅するようになるのです。
それは、なぜか。小柄な女性でしたが、毎日同じ時間帯に来て食品カートを押して店内をぐるぐる。カートにカゴは乗せていますが、いつも空っぽです。そんな特徴もあってか、従業員の誰もがその女性のことを憶えてしまうことになります。

試食巡りに精を出す女性

その女性は、スーパーの試食巡りが大好きだったようで、フルーツの試食、コロッケの試食、お刺身の試食、と回るのはいいのですが、
パクパクと全てを食べ尽くしてしまうのです。しかも、結局何も買わずに、食べるだけ食べて帰ってしまいます。

毎日のようにご来店

その行為がたまにならまだいいと思うのですが、毎日となると、店側としても困りもの。
試食を出すのを躊躇うようになります。
しかも、その女性の行動はエスカレート。パンの試食などにいたっては、レジのサッカー台に設置されている無料のビニール袋を手に持ち、その袋に試食のパンを詰めて持ち帰る始末……。
ここまでくると、店としてはなんとかしなくてはいけません。

試食コーナーの撤廃。すると……。

スーパーの方針で店内の何箇所かに設置されていた試食コーナーは、その女性からの被害防止のために、なくなってしまいました。するとどうでしょう。あれだけ、毎日ご来店していた女性の姿を見かけることはなくなりました。

そういえば、その女性は試食目当てで来ており、スーパーで売られている品物には目もくれませんでした。結局、お目当ての試食ができなくなったので、彼女が来ることはなくなったのでした。結果として、店内は平和になりました。ですが、女性の再来が怖く、試食コーナーはまだ再開されていません。なんとか工夫して、本当に「試食」してくれるお客さんに提供したいと考えているそうです。

ftnコラムニスト:サンマ雲

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