不倫相手が家に乗り込んできた! というのはたまに聞く話ですが、乗り込んできた相手に全く見覚えがない場合は人違いか何らかの事件ですよね。今回は旦那さんの不倫相手を名乗る女性が、実は想定外の相手だったという経験のある私の知人Wさんのお話です。
画像: ftnews.jp
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乗り込んできた女

Wさんは当時結婚して3年目。旦那さんとはまだ新婚の頃のようにラブラブで、休日には2人でドライブや映画などのデートを楽しんでいました。

しかしここのところ旦那さんの仕事が忙しく、休日出勤をすることもしばしばありました。

ある日、Wさんが午前中に家事を終えてのんびり過ごしていると、玄関でインターホンが鳴りました。誰が来たのかとモニターで見てみると、そこには若い女性がひとり映っています。
「はい……?」
Wさんが応答すると、女性は「突然すみません、旦那様のことでお話があります」と言いました。
「はあ、じゃあどうぞ」
ただならぬ様子に、思わずWさんは女性を家に上げました。

「私、旦那様とお付き合いしている者です。旦那様と別れて下さい!」
女性は家に入るなり、そう言ってWさんに土下座をしました。
「ええ!? ちょっと、とりあえず頭を上げて、落ち着いて……」
Wさんは驚きつつ、女性をソファに座らせました。

旦那さん登場

Wさんが自分と相手を落ち着かせるためにコーヒーを淹れようと台所に立っていると、ふいにリビングのドアが開き、パジャマ姿の旦那さんがひょっこりと顔を出しました。
「あれ、お客様?」
実は旦那さん、土日に出勤した分の代休をとって今日はお休み。今の今まで寝室で寝ていたのでした。
「Wちゃんのお友達かな? こんな格好ですみません……」
旦那さんはソファに座っている女性にそう言って頭を下げました。それを見た女性が、マズい! といったように顔をしかめたのをWさんはしっかり見ていました。
「あなた、もしかしてあの人知らないの?」
Wさんは慌てて旦那さんを台所に呼びます。旦那さんは呑気にコーヒーを自分のカップにも注ぎながら答えました。
「知らないなあ、結婚式来てた?」
「あの人、あなたの不倫相手だって言ってるけど!?」
「そんなわけないだろ、知らない人なのに!」
旦那さんはパジャマ姿のまま女性の元へ行きました。
「あの……すみません、どなたかとお間違えではないでしょうか?」
「……」
女性はうつむいたまま何も答えません。

女性の正体は……?

「ラチがあかないな。Wちゃん、110番して」
旦那さんが困ったように言いました。
「ちょっと、待って下さい!」
110番という言葉に反応して、女性が慌てだしました。
「いやいや待てないよ、怖いもん。あなた一体誰?」
女性は震える手でバッグを探り、中から1枚の名刺を取り出しました。そこには便利屋という肩書きと女性の名前、電話番号が書かれていました。
「便利屋さん? じゃあ今日ここに来たのも、誰かの依頼なの?」
女性はこくんと頷きます。
「不倫相手になりすまして奥様に会い、別れさせろという依頼で……まさか今日旦那様がいらっしゃるとは」
「依頼主は誰?」
Wさんが尋ねても、女性は「守秘義務がありますから」といって答えません。
「じゃあ110番だね」
Wさんがスマホを手に取ると、女性は慌てて「言います! 言いますから!」と1人の女性の名前を口に出しました。

「ああ……元カノだ」
旦那さんはそう言って頭を抱えました。Wさんが聞いたところによると、結婚してからも元カノからしつこく復縁を迫られていたようでした。
「とりあえず今日は帰って、彼女に伝えて。次にこんなことをしたらそれなりの手段に出るって」
便利屋の女性はわかりましたと言って、Wさんの家を後にしました。

旦那さんが元カノと別れたのはもうずいぶん前で、しかも元カノの浮気で別れたというのに、最近偶然駅で顔を合わせて結婚したことを告げてから、連絡が来たり待ち伏せされるようになったというのです。

便利屋の女性が帰ってからというもの、元カノからの連絡や待ち伏せはなくなったそうですが、旦那さんは今でも知らない女性が家に来ることを怖がってしまうとのことです。

ftnコラムニスト:緑子

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