お世話になった人が入院したら、お見舞いに行きたいと思いますよね。ただこのご時世ですから、せめて病院までは行けなくてもせめてお見舞金くらいは渡したいものです。今回はお見舞い金を渡したら別の人にだまし取られてしまった私の友人Eさんのお話です。
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幼馴染みのお母さんが入院

Eさんは小さい頃両親が共働きで夜遅くまでいないことが多く、そんな時は近所にいる幼馴染み、Yさんのお家で晩御飯を食べさせてもらっていました。

Yさん自体はちょっと見栄っ張りなところのある気の強い女の子でしたが、Yさんのお母さんはとっても優しくてお料理上手。幼いEさんは将来Yさんのお母さんみたいになりたいと憧れていた存在でした。

Eさんが大学を卒業し、就職のために実家を出てからもYさんとはたまにLINEのやりとりをしていましたが、地元の短大を出て仕事にも就かずニート生活のYさんとあまり話が合わなくなり、最近は疎遠になっていました。

そんなある日、Yさんから突然電話がかかって来ました。
「お母さんが入院してしまって、入院費が払えないの。お父さんは女を作って出て行っちゃったし、Eちゃん助けて! 」
EさんはYさんの実家がそんなことになっているとは知らず、ただ驚くばかりでした。
「え!!! 大変じゃん! おばさん大丈夫なの? 」
「手術しないといけないんだけど、うちにはもうお金がなくて…… 」
電話の向こうでしくしくと泣き出すYさん。Eさんは独り暮らしであまり余裕のない生活でしたが、Yさんのお母さんには随分お世話になったので力にならないわけにはいかないと思いました。

実家に電話してみると……

「わかった、定期崩したら20万くらいなら用意できると思うけど、それで足しになる? 」
「ありがとうEちゃん! お母さんが退院したら私も働いて必ず返すから! 」
「うん、今はとりあえずおばさんについててあげてね」
電話を切ったあと、Eさんは心配でたまりませんでした。あの優しいおばさんが病気なんて、と。

今はコロナ禍でお見舞いにも行けませんし、とりあえずお見舞いの気持ちを込めてEさんは定期預金を解約し、なけなしの20万円をYさんの家に送りました。

数日後、EさんはやはりYさんのお母さんのことが気になって実家に電話をかけてみました。母親はYさんのお母さんと仲が良いので、病状など詳しいことを知っているかもしれないと思ったからです。

「もしもしお母さん? あのさ、Yちゃんのお母さんのことなんだけど……」
そう話し出したEさんは、実の母親から驚くべき事実を聞かされたのでした。
「Yちゃんのお母さん? 今うちに来てるわよー、代わろうか? 」
「へ? 入院してるんじゃないの? 」
「入院? なんの話? 元気に煎餅バリバリ食ってるわよ」
すると電話の向こうでYさんのお母さんがケラケラと笑う声が聞こえてきました。とても手術の必要な病人の声ではありません。
「実は……」
EさんはYさんからお母さんが入院したと聞かされたこと、そして20万円送金したことを伝えました。すると母親がそれをそのまま、Yさんのお母さんに伝えているのが聞こえます。
「あんのバカ娘……!!! Eちゃんごめんね、すぐお金返すから! 」
母親から受話器をもぎ取ったのか、Yさんのお母さんは怒りに震える声で言いました。

お金の使い道は?

その後Eさんの元に、丁寧な謝罪文とともにお金が送られてきました。母親から聞いたところによると、あの電話の後Yさんのお母さんは家に飛んで帰り、Yさんを問い詰めたそうです。

なんとお金をだまし取ったのは、合コンに持っていくための、ブランド物のバッグが欲しかったという理由でした。幼いころからの見栄っ張りはちっとも変わっていなかったのです。もちろんお父さんが女を作って出て行ったというのも、ウソでした。

ニートだったYさんはお父さんの会社にコネ入社し、お父さんの監視下で働くことになったとのことです。

入院や手術など、縁起でもない嘘はつくべきではありませんね。

ftnコラムニスト:緑子

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