家族が激務で倒れるぐらい働きつめていたら、心配でたまりませんよね。今回は、過労で生死を彷徨った男性のエピソードをご紹介します。

誰からも好かれる営業マン

筆者の知人のAさんは、とあるメーカーの営業課長です。人懐っこい笑顔が特徴の営業マン。性格も快活で明るいので、顧客からも好かれています。営業成績もよく、社内でも評判だったそう。
しかし異動先で、Aさんは地獄を味わうことになるのです。

残業が100時間超えもあたりまえ

異動先の支店は、全国でも上位の売り上げをほこる場所でした。そのため、決算期には目が回るような忙しさで、月の残業時間も実質的には100時間は優に超えていました。自宅に帰らず、営業所で寝泊まりする日まであったそう。

そんな多忙な生活が続いていたある日、営業車から降りようと車のドアをあけた瞬間、全身の力が一気に抜けてそのまま倒れ込んでしまったのです。助けを求めたくても声が出ず、意識が遠のいていく感覚だけはあったそうです。

パワハラ上司とポンコツ部下の板挟み

たまたま駐車場で倒れているAさんを同僚が発見し、救急搬送されました。

じつは、数日前から高熱がでていたのに、職場にも家族にも伝えず働きつづけていたのです。中間管理職のAさんは、今期、上司から昨年度より250%以上の売り上げを命じられていました。

誰が見ても達成するのは難しい数字でしたが、Aさんは日頃から上司のパワハラにあっていたので、逆らえなかったのです。

また、今年に入り新人の部下が立て続けに二人退職。厳しい状況でも上司の要求に応えるため、Aさんは休みゼロで働き続けていたのです。

命より大切なものはない

Aさんは、搬送先の病院で髄膜炎と診断されました。髄膜炎は、ウイルスが血液を介して髄膜に炎症をおこす病気だそう。初期症状は、悪寒や頭痛・吐き気など風邪とよく似ているのだとか。そのため、Aさんは軽い風邪だろうと思っていたそう。

数日間の入院をへて、職場復帰したAさん。妻からは「もう少し休養して!」と言われましたが、Aさんは「繁忙期でこれ以上、仕事に穴をあけられない!」と言い、激務の生活に戻っていったのです。

しかし半年後に、髄膜炎が再発……。

1年に2回も髄膜炎にかかり、体重が15キロほども落ちてしまったとか。そんなAさんをずっとそばで見てきた妻からは「お願いだから、仕事やめて!」と何度も説得されたそう。

しかしAさんは営業職が好きなので、どんなにキツくても、この仕事をやめるつもりはないそうです。

筆者の夫も、Aさんと同じように月の残業が100時間をこえる会社で働き、倒れた経験があります。人は休みなく働きつづけると、正常な判断ができなくなるのだと痛感しました。

体からの悲鳴は無視せず、「ムリだ……」と思ったら会社をやめるか、休むか、誰かに相談するなどの選択をしてください。ブラック企業がなくなることを祈ります。

ftnコラムニスト:広田あや子


コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.