転勤をきっかけに恋人からプロポーズされる人もいれば、別れを切り出される人もいます。特に女性が男性の転勤についていけない状況であれば、別れを選ばざるを得ないこともあるのではないでしょうか。
今回は長く付き合っていた男性から、転勤をきっかけに別れを告げられた女性、Tさんのお話です。
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念願の昇進

Tさんは出版社で働くバリバリのキャリアウーマン。商社に勤める彼氏とはもう5年のお付き合いで、そろそろ結婚かな…と考えていました。

もちろん結婚しても仕事は続けるつもりでしたし、彼氏の方も仕事を頑張っているTさんを魅力的だと言っていました。

ある日、Tさんは主任に昇進するという辞令とともに、新しいプロジェクトのチーフに任命されました。女性では初の主任ということで、Tさんは大喜び。今までの努力が報われたと感じていました。

彼氏に報告。すると・・・

「ねえねえ私、主任になったんだよ!本当に嬉しい!」
デートで行ったレストランで、Tさんは彼氏にそう報告しました。すると今までにこやかだった彼氏の表情が急に曇ったのです。

「おめでとう!でも俺、実はNYに転勤することが決まったんだ…。いつこっちに戻って来られるかもわからない。お前は今のキャリア捨てられないだろ?だからもう俺たち、終わりにした方がいいよな…」
突然の彼氏の言葉に絶句するTさん。確かにTさんは昇進したばかりで、今のキャリアを捨てて彼氏とNYについていくことは考えられません。
「そんな、急に…」
喜びから一転、突然どん底に突き落とされたような気になったTさん。泣く泣く別れを受け入れ、彼がNYに立つ日はせめて空港に見送りに行きたいと言いました。

「そういうのやめよう、未練を残したくないんだ…」
彼氏は悲し気にそう言って、いつNYに行くのかすら教えてはくれませんでした。なんとか粘ったTさんは、来月中にはNYに行くということだけ聞き出し、2人はそのまま別れることに。

NYにいるはずの彼氏が

彼氏と別れた悲しみを吹き飛ばすように仕事に打ち込んだTさん。3か月後、Tさんがチーフを務めたプロジェクトが大成功し、やっとまとまった休みが取れたので街へ買い物に出かけることにしました。

「さて、気晴らしに新しいバッグでも買おうかな…」
Tさんは自分へのご褒美に、好きなブランドのバッグを買おうとブランド店に入りました。

「これなんか似合うんじゃないか?」
「えー、でもちょっと私には高級すぎる…」
「いいよいいよ、誕生日なんだから」
ブランド店の中ではカップルが仲睦まじく彼女のバッグを選んでいる様子。羨ましいなあと思ったTさんはそのカップルの男性の顔をチラッと見て、思わず声を上げました。

「ちょっと…!あんたNY行ったんじゃなかったの!?」
そう、そのカップルの男性はなんとTさんの元彼。連れている女性は全く知らない、若くて控えめそうな女性でした。
「T…!これは…その…ごめん!」
Tさんの元彼は慌てて持っていたバッグを店員さんに預け、彼女を連れて店を出て行ってしまいました。Tさんはお買い物をする気分ではなくなってしまい、後を追うように店を出ました。

NY出張は嘘だった!

「どういうことなのよ…」
周りを見渡しても、彼氏の姿はどこにもありません。とりあえずTさんが彼に電話をかけると、気まずそうに彼が電話に出ました。

「NY転勤はどうなったの?私たちそれで別れたんじゃなかったの?」
『いや、実は…』
「実は何よ?」
問い詰めるTさんに、彼はとんでもない告白をしたのです。
『NY転勤なんてないよ、全部ウソ!俺、自分より仕事できる女は苦手なんだよ…』
彼氏はTさんの昇進をこころよく思っておらず、Tさんと別れたいがために嘘をついたとのこと。バリキャリのTさんがNY転勤についてくるはずがないと思ったのだそうです。
「何それ…くだらない男!」
Tさんは電話を切り、再びブランド店へ。彼のことをスッパリ忘れるためにも、自分へのご褒美のためにも、お店の中で一番高価なバッグを購入して帰ったそうです。

Tさんは今でも独身。「もう男はこりごり。万が一結婚するなら主夫になってくれる男がいいわ」と言ってバリバリ働いています。

ftnコラムニスト:緑子

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