離婚を経験した人なら、よっぽどのことがない限り元旦那さんとの関わりを避けたいものではないでしょうか。今回は元旦那が再婚した女性からストーカーをされたTさんのお話です。
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旦那の浮気で離婚、そして…

Tさんは結婚10年目にして、旦那さんの浮気が発覚。傷ついたTさんは子どもを連れて実家に帰ることに。
「もうダメだね、離婚しよう」
実家に謝罪に来た旦那さんに、Tさんは言ったそうです。実はもう長いこと旦那さんには女の影が見え隠れしていて、ほとほと愛想が尽きていたのでしょう。旦那さんもそれをわかっていたのか、親権や慰謝料の請求もスムーズに進みました。
「これからはお互い別々の道を進むけど、またどっかで会ったらよろしくね」
Tさんと旦那さんは幼なじみで、お互い離婚後も地元で暮らすことが分かっていたので、この町のどこかで会うことは避けられない。そう思ったTさんはその言葉を残して離婚届けに判を押しました。

元旦那の再婚

離婚してから1年後、Tさんは元旦那さんの再婚の噂を聞きました。なんとお相手はTさんの高校の後輩で、Tさんとも面識のある女性。どうやら元旦那様との離婚の原因になった女性のようでした。
「あの子と再婚したのかー、高校の頃はよく私にくっついてきてたなあ」とTさんは元旦那の再婚を心から祝福しながら、さして奥さんの方には気にも留めませんでした。

シングルマザーになったTさんは実家で両親に子どもを見てもらいながら昼はスーパー、夜はスナックと、忙しく働いていたので、元旦那さんの奥さんのことなど気にする暇がなかったそうです。

ある日Tさんはスナックの常連客から変な話を耳にしました。
「俺、こないだTさんにすごくそっくりな女の子見かけたんだよ。声かけようとして、振り返ったら全然違った」
「それ、私の妹じゃないですか?」
「いや、妹なら顔が似てるだろ?そうじゃなくて、顔が違うのに服装とか雰囲気がそっくりなの」
「えー、何それ。怖いなあ」
その時はそれで終わったのですが、その後Tさんは色んなお客様から自分そっくりな女の話を聞くようになり、少し気にして周りの女性を見るようになりました。
「誰か私にそっくりな人がいるのかな…」

現嫁登場!

Tさんがスナックに出勤してママと準備をしていると、まだお客さんも来ていないくらい早い時間に店のドアが開きました。

「いらっしゃいませ…って、あれ?」
お客様を迎え入れたTさんとママは、思わず声を上げました。そこにはTさんの元旦那さんの奥さんが、Tさんとそっくりの髪型、Tさんの普段着とよく似た服装で立っていたのです。
「早いけどいいですか?」
「あ、どうぞ…」おしぼりを渡しながら戸惑うTさん。お客様から言われた自分に似ている女性が、まさか元旦那の現嫁だとは思わなかったのでしょう。
「ちょっとあんた、どういうつもり?」
ママはTさんが離婚した直後からかわいがっているので、思わず現嫁にそう言ったそうです。
「そんなそっくりの格好して町をチョロチョロして、この店にまで来るなんて!しかも〇〇くんと結婚したっていうじゃない、あんた何のつもりなのよ?」
「ママ、いいから…せっかくお客さんで来てくれたんだし。で、何飲む?」
Tさんはママにそう言って、にっこり笑って現嫁にお酒を勧めました。
「私Tさんにずーっと憧れてたんです。あ、今赤ちゃんいるからお酒飲めなくて。ウーロン茶ください」
現嫁はお腹をさすりながら答えました。
「妊娠してんのかよ…飲んだら帰りな。お代はいいから、もう来ないで」
ママはそう言い放ってウーロン茶を彼女の前に置きました。
「どうしてですか?私Tさんのこと大好きなのに」
「はあ?好きだったら旦那寝取ってもいいのかよ!」怒りを隠せないママに、Tさんは「いいから、過ぎたことだから」と言ってその場を収めました。

再び現れた現嫁

その後も現嫁はTさんとそっくりの格好をして町をうろつき、Tさんは気味が悪いと思いながらも自分の生活で忙しく、そのまま放っておきました。するとある時期から現嫁の目撃情報が途絶え、「きっと人の真似をするのに飽きたんだな。子どもも生まれただろうし」と平和な生活が戻ってきたことを喜んでいました。

スナックで現嫁に会ってから1年半ほど経ったある日、Tさんが昼間の職場であるスーパーに出勤すると、店長から新人が入ったと紹介されたのです。

「Tさん、これからは一緒に働けるんですね、嬉しい!」
Tさんと同じスーパーで同じエプロンをつけて、まったく同じ髪型と同じような服装をしてその場に立っていたのは、元旦那さんの現嫁でした。
「ごめん、さすがに気持ち悪い…」
「どうしてですか?私ずっとTさんになりたかったのに!」
Tさんはあまりの恐怖に吐き気を覚え、その場を離れたそうです。

そのままTさんは逃げるようにスーパーを退職。すると間もなく現嫁もスーパーを辞めたと、元同僚からの情報が入ってきました。
「どこまでついてくるの…もしかして元旦那と結婚したのも私の真似?」
Tさんは子どもを連れて、生まれ育った町を出る決意をしました。その方が元旦那と現嫁、その間に生まれた子どもにとっても良いと思ったからです。

生まれた町を出た、その後

Tさんが町を出て、しばらくしてから元旦那さんから電話がかかってきました。
「久しぶり、元気?」
「うん、元気だよ。急にどうしたの?」
「いや、実は…」
元旦那さんの話を聞き、Tさんは血の気が引くような感覚になったそうです。なんとTさんが町を出た後、元旦那さんの現嫁が子どもを置いて姿を消したというのです。
「そっちに現れるかもしれないけど、もう戻る場所はないって言っといてくれよ。もう沢山だよ、あいつお前の真似ばっかりして…」元旦那さんの声はすっかり弱っているようでした。
「いや、知らねえよ。自分の嫁くらい自分でなんとかしな」
そう言ってTさんは電話を切りました。もし自分の目の前にまた彼女が現れたら、今度はもう闘うしかない。自分の生活と子どもを守るために。そう思いながら。

結局現嫁はTさんの居所を誰にも聞き出せなかったようで、Tさんは子どもたちと平和に暮らしています。ただ、いつ彼女が現れてもいいように準備はしているとのこと。

恋愛感情を発端とする異性のストーカーよりも、思春期に抱いた同性への憧れからくるストーカーの方が案外執念深いのかもしれませんね。

ライター:緑子


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