女であることを利用して組織の中でのし上がる人なんて、ドラマの中だけだと思っていませんか?実は案外身近にもいるかもしれませんよ。
今回はみんなに信頼されているパートリーダーが、転勤でやってきたエライ人に色仕掛けをしているところを目撃してしまったYさんのお話です。
画像: ftnews.jp
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パート先はホテルのレストラン

Yさんは小学生の子どもがいる主婦。子どもの習い事の月謝を稼ぐため、シティホテルのレストランのパートを始めたそうです。
レストランのホール係の仕事はランチタイムがメインなので自分と同じような子持ち主婦が多くて皆仲が良く、働きやすい職場でした。

なかでもYさんより一回りほど年上、40代後半のパートリーダーの女性は、仕事もテキパキとしているうえに、皆の希望や意見をよく聞いてくれて、子どもの発熱などによる急なシフト変更もイヤミひとつ言わずに対応してくれるという、まさにデキる女。
もうお子さんも大きいので、子育ての悩みから誰にも話せないプライベートな相談にまで乗ってくれる、頼れるお姉さんといった雰囲気でした。

人事異動でやってきたのは…

Yさんが勤めているレストランではコック長が一番トップなので、基本的にコック長の意見が絶対。コック長は50代後半の男性で、ちょっと職人気質でコワイところもあったものの、基本的にパートリーダーが間に入ってくれていたのでパート主婦たちは直接コック長と関わることもなく過ごしていました。

そんなある日、人事異動でコック長が系列の他のホテルに異動になることが決まり、Yさんの職場には新しいコック長がやってきました。
「皆さんよろしくお願いします!」
新しいコック長はまだ40代で、ハツラツとした背の高いイケメン。パートの主婦のなかでも「コック長かっこいいよね~、目の保養だわ!」とコック長に目がハートになる人もいたそうです。

また新しいコック長は以前のコック長とは違い、パートリーダーを通さずに直接パートに仕事を頼んだり、気になることがあればズバッと注意をしたり。まあトップが変われば方針も変わるのは当たり前だし、なんか前より働きやすくなったかも?とYさんは思っていました。

パート帰りに偶然目撃!

新しいコック長が来てから3ヶ月ほど経った頃、Yさんはパート帰りに仲良しのパート仲間と一緒に職場近くのファミレスでお茶をすることに。その日はコック長もパートリーダーもお休みの日でした。
「ホテルのラウンジは高いし、やっぱ主婦にはドリンクバーが一番よね!…って、あれコック長じゃない?」
ドリンクバーから一番近い席につき、しばらくおしゃべりを楽しんでいたYさんは、店の一番奥の席に座っている新しいコック長の姿を見つけました。その向かいには、背中しか見えないけれど女性の姿も。
「今日お休みだったはずだけど…ご家族と来てるのかな?」
新しいコック長は2人の子を持つパパ。休日を家族とファミレスでゆっくり過ごしているのだと思い、皆そっとしておこうと話題が他に移ろうとしていたその瞬間。こちらに背を向けて座っていた女性が、ドリンクバーに行くためかカップを持って立ち上がりました。

「ええ~!!!ちょっと、パートリーダーじゃん!」
なんと立ち上がった女性はパートリーダー。コック長とパートリーダーが休みの日にわざわざファミレスで密会!?見てはいけないものを見てしまったとその場の全員が思ったそうです。

いつもと違うパートリーダー

パートリーダーはいつも髪をひとつに結んだだけで、メイクも薄く服装もあまり飾り気のないシンプル系。それなのに今は長い髪をクルクルと巻いて、短いスカートにざっくり胸元が開いたニット、まつ毛バシバシの濃いメイク。明らかにいつもと違うのは遠くから見てもわかりました。
「ちょっと、こっち来るよ!」運悪くこちらはドリンクバーからすぐ近くの席。パートリーダーが歩いてくるのに目を合わせないように、皆黙って目を伏せていました。

「あら?皆さんお揃いで。今仕事帰り?」
気配を消していたのもむなしく、パートリーダーがYさんたちに気付いて近づいてきました。
「あ、はい…。リーダーは今日お休みでしたよね」
「そうなのよぉ~、ねえ今誰と一緒に来てるかわかるぅ?」
仕事中のテキパキした話し方とは全く違う話し方でした。誰と来てるかわかってるから気まずいんだよ!と言いたいのを必死でこらえるYさん。
「なんと…コック長!ねえねえ羨ましい?みんな大好きだもんねえ~!」
パートリーダーはお尻をねじ込むようにしてYさんたちの席に座ってきました。ますます気まずい空気がその場に流れます。
「でもダメよ、あの人」パートリーダーは言いました。

彼女の目論見とは…?

「何がダメなんですか?」恐る恐る尋ねるYさん。
パートリーダーはチラッと店の奥、コック長が座っているあたりを見て答えました。
「どんだけ誘っても全然乗ってこないの!多分あれは相当嫁の尻に敷かれてるね」
誘う???頭の中が?マークでいっぱいになるYさんたち。
「今日だって仕事の相談があるって言ってやっとご飯に誘えたんだから。でもホテルに行こうって言ったらダメだったわ…。みんなあいつに色仕掛けしたって無駄だからね!」
「いやいや、私たちはそんな…」
ホテルに誘ったってことは、不倫しようって誘ったってこと!?Yさんたちはパートリーダーの発言に言葉を失いました。確かに皆コック長に憧れてはいたけれど、不倫したいなどと思ったことはありません。
「前のコック長なんか、ちょっと誘ったらすぐ乗ってきて。それで私パートリーダーになれたんだよ~」
何故かドヤ顔で話すパートリーダー。突然前のコック長との不倫までカミングアウトされて、ますます引いてしまうYさん。
「まあこれからもうちょっと押してみるけど、みんな黙っててよ。あとコック長誘ってパートリーダーの座を狙うとかもナシでよろしくね!」

パートリーダーってそんな人だったの!?Yさんたちはドン引きしたまま、席に戻るパートリーダーを見送り、気まずい気持ちのまま解散したそうです。

その後パートリーダーはYさんたちに話したことでもう隠すことはないと思ったのか、出勤するたびに派手なメイクや服装でやってきて、堂々とコック長に色仕掛けを繰り出すように。

しつこく誘われることに堪忍袋の緒が切れたのでしょう、ある日コック長が「いい加減にしてくれ!」とパートリーダーに怒鳴り、パートリーダーは降格になったそうです。
女を使ってパートリーダーにのし上がったとしても、相手が変われば通用しないこともあるのだと早く気づくべきでしたね。

ftnコラムニスト:緑子


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