結婚をして初めて2人で暮らす新居ってとっても神聖ですし、大切なものですよね。今回はそんな新居にいきなりいちゃもんをつけられた時のお話です。
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2人で探した新居

その頃私は長く付き合っていた男性との結婚が決まって、2人で新居になる賃貸マンションを探していました。できれば駅から近く、あまり広くなくてもいいから便利な場所で…など条件を出し合い、不動産屋さんとも何回も相談や内見を繰り返しました。そうしてやっと見つけたのが、とある3階建ての小さなマンション。
こじんまりとしてはいるものの日当たりもよく、駅やコンビニ、スーパーも近いうえに駐車場つきという好条件。
2人ともすっかり気に入って、そこを新居とすることに決めました。

新居をご案内

さっそく、お互いの家族に新居の場所を連絡しました。義実家からそう離れていない場所なので、まず夫の両親と義姉が見に来ることになりました。
もうすでに契約も済ませ、家具も半分以上揃っていて、挙式はまだあげていないものの夫と2人で暮らし始めていた頃でした。
「へえ…ここが新居?」
彼の両親と一緒に来たのが、自称「霊感のある」義姉。義姉は以前から私を見るなり「良くないものを感じる」などという発言をするので正直苦手でしたが、我慢をして部屋を案内することに。

何かを感じた義姉

部屋に入るなり、義姉はぎゅっと眉を寄せて部屋の隅を凝視。その場にいる全員が、嫌な予感を隠せませんでした。
「えっと…どうかしました?お姉さん」
そう尋ねた私に、義姉は部屋の隅を指さして言いました。
「あそこに中年男性の霊がいる!!!」
その言葉に私も夫も、夫の両親も凍り付きました。
「ちゅ、中年男性!?」
新居でもう暮らし始めていましたが、私も夫も1度たりともそんな中年男性の霊を見たことがありませんし、気配を感じたこともありません。それなのにいきなりそんなことを言われると、気味が悪くて仕方ありませんでした。

いきなりお線香を…

「ちょっと、灰皿持ってきて!」
義姉はいきなりバッグから大量の線香を取り出し、灰皿の上で火をつけました。
部屋中にもうもうと広がる線香の煙。あまりに多くの線香に火をつけたせいで、その場にいた全員がゲホゲホとむせ返ってしまいました。
ああ、気に入って買ったばかりのラグやソファにお線香の匂いが…。そう思いながらも何も言えない私。狂ったように線香を焚き続ける義姉。ただただむせている夫の両親。
「とりあえず窓開けようか…」
夫は力なく呟いて窓を開けました。窓からすうっと抜けていく煙を見送りながら、私は涙を一粒こぼしたのを覚えています。中年男性の霊もイヤだけど、こんなに大量の線香を焚かれるのはもっとイヤ…。

新居が台無しに

「これでもう大丈夫だから!」
線香が全て燃え尽きたあと、義姉はスッキリした顔で義両親を連れて帰っていきました。
私と夫はその後しばらく、線香の匂いがしみついた部屋で、線香の匂いに包まれながら新生活を送ることに。なんとクローゼットの中の洋服にも線香の匂いがついていて「あれ、なんかお寺の匂いしない?」と職場の人に言われたこともあります。
それから何度か引っ越しをしましたが、一度も義姉は呼んでいません。また「何かを感じる…」と言われてお線香を焚かれては困りますから。たとえ新しい部屋にどんな霊がいたとしても、見えなければOK、と思うことにしています。

ftnコラムニスト:緑子

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