一年中雪駄を履いていた筆者の父がある日突然「靴を買いに行く」と言い出し、何十年も変わらなかった父を動かしたのは、意外な相手のひと言で──。
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雪駄一筋

「靴を買いに行く」
父がそう言った時、家族は思わず顔を見合わせました。
父は昔から一年中雪駄を履いている人です。
真夏はもちろん、冬になっても変わりません。
家には予備の雪駄が常備され、ストックがなくなったら買いに走るのが当たり前。
家族が「寒いから靴を履いたら?」と勧めても「これがええんや」と取り合わなかったのです。
そのため、何十年も雪駄一筋だった父の口から突然そんな言葉が出たことに、私たちは驚いていました。

変わらぬ父

父の雪駄へのこだわりは筋金入りでした。
行事ごと以外はどんな日も雪駄で出かけます。
「足が冷たくないん?」
父を見た近所の人に何度もそう聞かれます。
しかし父は「慣れとるから大丈夫や」と笑うだけ。
家族の誰もが、父はもう一生雪駄を履き続けるのだろうと思っていました。

だからこそ、靴を買うと言い出した理由が気になります。
「急にどうしたん?」
私たちが尋ねると、父は少し照れたように笑いました。

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