息子の選んだ嫁が気に入らないといっていびり倒したり、様々な手段を使って別れさせようとしたりするお姑さんは一定数いるようです。今回は私の知人Tさんが経験した、お姑さんの別れさせ工作についてお話します。
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姑と同居

Tさんは結婚してすぐに、旦那さんの希望でお姑さんと同居することになりました。すでにお舅さんは亡くなっていて、年老いた母親をひとりにさせたくないという旦那さんの優しさからの同居でしたが、どうもお姑さんはTさんを気に入らない様子。

Tさんが旦那さんより2つ年上であることや、フルタイムで仕事を続けていることなどが気になるようで、旦那さんがいない時にお姑さんはTさんにネチネチと嫌味を言いました。
「もっと若くてかわいいお嫁さんが欲しかったわ! 」
「女が外で働くとロクなことないわよ、不倫なんかしたら家から追い出してやるから」
「仕事ばっかりしてるから家事が中途半端なのよ、嫁失格だわ! 」
そんな嫌味攻撃を受け続け、Tさんは家にいても気持ちが休まらない日々が続いていました。

そんなTさんの唯一の癒やしは、仕事帰りに行きつけのカフェに立ち寄り、1杯だけゆっくりとコーヒーを飲むことでした。

いきつけのカフェ

「はあ、癒される…… 」
いつものようにカフェでコーヒーを楽しんでいるTさん。なじみのカフェなのでスタッフの顔は把握していましたが、新しく入ったらしい男性店員が自分をじっと見つめているのに気づきました。
「なんだろう……」
その男性店員はかなり若くてイケメン。イケメンに見つめられるのはまんざらでもないな、と思いながらTさんは家路につきました。

それからカフェに行く度に毎回イケメン店員はTさんを見つめてきたり、軽く話しかけてきたり。Tさんは戸惑いながらも、顔を合わせれば挨拶するようになりました。

「あ、あの……」
イケメン店員の存在に気付いてから2週間ほど経った頃。いつものようにコーヒーを飲み、帰ろうと店を出たところで、Tさんはイケメン店員に声をかけられました。
「僕、ずっと前から奥さんのことが気になっていて……」
「えぇ!? 」
「良かったら付き合ってもらえませんか」
いきなり手を握ってくるイケメン店員。Tさんは慌ててその手を振り払いました。
「ずっと前って、あなたが働きだしたの最近じゃないですか? ていうか、奥さんって……私結婚指輪してないのにどうして結婚してるって知ってるの?」
Tさんは嫁いびりのストレスで結婚当初よりかなり痩せてしまい、失くすことを恐れて通勤時には指輪をはめていませんでした。
「それは……」
口ごもるイケメン店員。何かあやしいと思ったTさんは足早に家に帰りました。

姑の部屋で

Tさんが家に着くと、ちょうどお姑さんが家から出ようとしているところでした。
「お出かけですか?」
「あなたには関係ないでしょ!」
そう言い捨てて出ていくお姑さんを少しほっとした気持ちで見送るTさん。ふと玄関を見ると、お姑さんがハンカチを落としているのに気づきました。

「しょうがない、部屋に戻しとくか」
Tさんはハンカチを持って、いつもは入らないお姑さんの部屋へ。
「ん? なにこれ…… 」
お姑さんが普段使っているちゃぶ台の上に、見覚えのある人の写真が置いてありました。それはさっきTさんに告白してきたイケメン店員。そしてカフェでコーヒーを飲むTさんの写真や、イケメン店員と話しているところを撮ったツーショットも。

そして極めつけは「〇〇サービス」と書いてある名刺と茶封筒。Tさんがすぐにその会社をインターネット検索すると、男女を別れさせることをメインにしている便利屋、いわゆる別れさせ屋だということがわかりました。

「あのイケメン、まさか……」
Tさんはすぐに写真と名刺を回収し、自分の部屋へ。するとお姑さんが帰ってきて、Tさんに言いました。
「Tさん、あなた若い男と浮気してるでしょ?」
勝ち誇ったような顔で、お姑さんが1枚の写真をTさんに突きつけました。それはさきほどイケメン店員に告白され、一瞬手を握られた時の写真でした。どうやらお姑さんは写真のデータを別れさせ屋から受け取り、コンビニでプリントをしてきたようでした。
「そこまでして別れさせたいとは……」
やはりイケメン店員が別れさせ屋のスタッフなのだとわかったTさん。さすがにぶちんと堪忍袋の緒が切れてしまいました。
「お義母さん、これ別れさせ屋ですよね? ネット検索したらすぐに出てきました。もう黙っていられません! 今までのことも含めて〇〇さん(旦那さん)に報告しますからね!」
写真と名刺をお姑さんの目の前にチラつかせると、お姑さんの顔色が変わりました。
「どうしてそれを……」
「そんなに見られたくないものなら、隠しておけば良かったですね!」

その後Tさんは旦那さんに、お姑さんが不倫をでっちあげてまで自分たちを別れさせようとしていたことを報告。すると当然のことながら旦那さんは激怒し、すぐさま同居を解消することになってしまいました。

お姑さんは今も広い義実家でひとり寂しく暮らしているそうです。

人に頼んで別れさせようとするなど、言語道断です。
度が過ぎた嫁いびりはいつか自分がその報いを受けることになるのですね。

ftnコラムニスト:緑子

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